そして知り得る夢の子ら ページ5
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彼の名前に反応するように疼いたこめかみを押さえると、
「いたむのですか、その、おおきな傷。」
ほっそりとした指が、産毛を撫でるようなむずがゆい距離で私の手の甲を滑る。その顔に懐かしい面影を見てはっとした。
「いえ、もう随分前の傷ですから。」
すると私のぼろの服を掴んで、キスをするような距離で「ご自分で？」と彼。「…ええ。」と私。
「ほんとう？」
私の言葉を疑っているような表情や声色ではなかった。しかしわざわざ口に出すように促すような言葉に眉を寄せ、「満月の夜に。」とだけ。
すると彼は悲しそうに顔を歪め、私の頭や頬をやさしく撫でる。まろやかなその快楽に不快感などすぐ消え去る。彼は安心したような声色で、何かをちいさくちいさく呟いた。
「今、なんて？」
「いいえなんでも。気分を害してしまいましたね、お茶でもどうですか？」
階段に足をかければはげしい痛みと共になにかが甦りかける。頭痛に呻く私に、彼は振り返りもせず上っていく。
「この塔の名前、ご存知ですか？」
ホグワーツ城からすこし離れた、南東に聳える石造りの塔。学生の興味をよく惹く外観のわり、なにもなかったことしか覚えていない。…たしか、蘚の塔だっただろうか。
「忘却の塔、ほんとうの名前はね。」
ズキッ
…そうだ、この傷は、自分でつけてしまったものじゃない。緑のローブの、だれかが、ぼくと、ピーターに向かって魔法をかけたんだ。
「おまえ、ほんとうに覚えてないんだな。」
ズキッ
A･プレスコット？違う、彼は、アイツはそんな上品な名前じゃない。コイツは、なんで教師になれている？
「なぁ。お飾り監督生の、人狼ルーピン。」
扉を開きながら振り返った柊色の目にいっそう高い痛みが襲う。その拍子に、脳みそに仕込まれていた何かが解けた。
アイツの、さらに醜くなった体に飛び付く。
「なにもかも思い出した！お前はプレスコットなんかじゃない、A･フィーネだ！！醜い終焉がお前の名前だ！トチ狂ったカルト野郎がお前だ！
このッ、お前、私に何をした！スネイプは知っているのか！？ダンブルドアは！？」
骨と皮ばかりの首に手を回す。力任せに絞めていると、ごりっとした感覚のあとに半開きのヤツの口から唾液の塊がこぼれる。それでも笑う顔は踏みつけたいほど不気味で、塔の階段を走って下りた。
学ばないなぁ、と、聞こえた気がした。
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アホ毛50% - ぱんださん» ありがとうございます！私もたくさん考えて書いたので、そう感じていただけたなら幸いです！ (2017年8月12日 17時) (
レス) id: 14b4ba423b (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ(プロフ) - 完結おめでとうございます…！すごい考えさせられました…！なんかもう今感動と切なさと諸々の感情が溢れそうです。幸多かれ…本当もうその通りというか…。素敵な作品をありがとうございました…！少し寂しさもありますが、でもやっぱり完結おめでとうございます！！ (2017年8月12日 16時) (レス) id: 84a45bb0eb (このIDを非表示/違反報告)
アホ毛50% - しぇるふぃあ。@永遠のオットーフィーバーさん» ああ〜〜〜〜！うそほんとに嬉しいです…！拙い作品ではありますが精進しますほんとありがとうございます…！ (2017年7月22日 16時) (レス) id: 14b4ba423b (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。@永遠のオットーフィーバー - ずっと鳥肌立ってます…ハリポタの新作ありがとうございます、更新ひっそりと楽しみにしています！ (2017年7月21日 22時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
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