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story179 ページ35

『…そっか、』


三郎「…?

ちょ、Aどこ行くの?」


『もちろん、二郎の部屋だよ』


三郎「あんな奴構わなくたって…」


私は三郎が最後まで言い終わることなく二郎の部屋をノックした。

もちろん返答はない。


『二郎、入るよ』


このまま返事を待っていたら日が暮れてしまいそうなので私はゆっくり目の前の扉を押し開ける。

すると…そこには電気の着いていない部屋で私に背を向ける形で壁によりかかっている二郎が居た。


『二郎、ただいま。今帰ったよ』


二郎「…そーかよ」


『フルーツ美味しかったよ。

わざわざ持ってきてくれてありがとうね』


二郎「…」


『昨日はびっくり、させたでしょ?

怒ってる?』


二郎「…は?“びっくり”?」


聞いたことの無い二郎の冷めた声に自分のした事の重大さを思い知って直ぐにドアを閉める。

そして部屋の電気をつけて二郎の隣に座った。


『二郎、ごめんね?ほんとに私』


二郎「…ま…は」


『ん、?』


二郎「お前は、何に謝ってるんだよ?」


『え?それはまだ高校生の二郎に』


二郎「高校生?

…高校生だからガキだとしか思えねぇか?

残念だったな、俺だってもう立派な男なんだよ」


二郎の小さく唸るような威嚇するような声でそう言葉が聞こえた瞬間私は体に柔らかい衝撃を受ける。


一瞬何が起きたのかわからなくて生ぬるい意識がだんだんと鮮明になっていくと私の狭い視界に広がるのは二郎の綺麗に整った顔だった。


『じろ、』


私は何度目かの床に押し倒される状況に陥っている。

すぐ間近に感じる二郎の…高校生の男の子の揺れる吐息に比例するように私の心拍数も上がっていくのが感じられた。


二郎「…俺はお前にとってなんなんだ?

兄ちゃんの弟?高校生のガキ?

…もっと、Aの近くに行きてぇって思っちゃダメなのか?」


『…二郎、まさかだけど』





私は鈍いらしい。

人の気持ちに気づくのが昔から苦手なようだった。

誰かの好意も悪意も興味はなくて干渉される生き方が嫌いだったから人の心に触れるのは紛うことだと信じて生きてきた。


だけど色んな人に出会って愛を貰って私の心も少しは使い物になったらしい。



二郎は、私のことが好きなのかもしれない。




『あなた…私のことが、好きなの、?』


二郎「わかってんなら!!

俺に酷いことするなよ!!

あの男はAにとってなんなんだよ?

キ…キスとか、そういうの了承する仲なのかよ?」

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作品ジャンル:アニメ
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lotus_r(プロフ) - 華月さん» うわぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!なるべく更新送れないようにしていきたいです(泣) (2021年12月25日 16時) (レス) @page31 id: 37f79c4fa9 (このIDを非表示/違反報告)
華月 - いつも見てます(*^^*) 無理のなさらないように頑張って更新してください! (2021年12月24日 13時) (レス) id: e87e41df15 (このIDを非表示/違反報告)
lotus_r(プロフ) - 柃。さん» コメント返信遅くなり申し訳ありませんでした!作者です!この作品ももっと更新頻度上げていきたいと思います! (2021年8月28日 1時) (レス) id: 37f79c4fa9 (このIDを非表示/違反報告)
柃。(プロフ) - 夢主ちゃんのもはや芸になってる鈍感が見ててもどかしいんですけど面白いです!これからも更新頑張ってくださいね^ - ^ (2021年8月16日 0時) (レス) id: 70c717cb52 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:lotus_r | 作成日時:2021年5月4日 2時

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