story162 side:左馬刻 ページ18
やけに煙草の味が苦い気がして気だるげに煙を吐き出したその時だった。
「あ?A?」
遠目に見えたのは髪を高く結い上げて黒いワンピースをひらひら踊らせて立っているAだった。
あれは…俺が買ってやった服、
ちゃんと着てるんだな、アイツ…
柄にもなく嬉しくなって「おい、A!」と声をかけようと少し近づくとその顔がよく見えた。
元気が、ないのか?
いつものアイツは「左馬刻!」と元気に笑いながら俺の名前呼ぶ。
だけど今声をかけてもアイツはそうならないような気がした。
いや、違うな。
アイツならきっと無理をしていつも通りのAをやってくれる。
何があったのか知らねぇが少し様子を見てみるか。
【虚城 A TEL☎︎】
ピリリリリリ
「おう、Aか」
『えっ、左馬刻?急に電話なんてどうしたの?』
「いや、別に大した用じゃねえんだけどお前今どこにいる?」
『今?今はイケブクロにいるよ』
「…そうか、今は一郎のとこにいるんだったな」
『うん、…』
「今も一郎の家にいんのか?」
『ううん、今はちょっと出かけてる
だけどどこに行こうか迷ってて。
なーんにも考えず家出ちゃった』
「そうか、なら俺様がお前の“お出かけ”付き合ってやるよ。
イケブクロは一通り知ってるからな」
『え、?どういうこと?
左馬刻、今イケブクロにいるの?』
「いーから、俺の言う通り行け」
『う、うん、?』
「よし!じゃあ行くぞ!今どこだ?駅か?」
『うん、イケブクロ駅』
「そうか、ならそこから真っ直ぐ行け
そして信号を右折して〜……」
『次は左?』
「バカ、違う!もうひとつ先の通路だ!」
『ねえ疲れた〜…どこに向かってるの?』
「疲れたってまだ15分しか歩いてねぇよ」
俺はAて電話をしながら道を示唆し、俺の言う通りに進むAの背中をバレないように追いかける。
たまに違う道に逸れそうになるAを慌てて正しい道に戻るように、そして後ろにいるのがバレないように指示するのは意外と難しくて、だけどふと脇にあった窓を見ると俺の顔は笑顔を浮かべていた。
…は、俺はいつからこんな顔で笑うようになったよ。
『もしもしー?左馬刻ー?』
「あ?あぁ、そろそろ着くぞ。
そのまままーっすぐ行ったら…」
『え?ここ?』
「そうだ。そこだ。
お前好きだろ、そういう店」
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lotus_r(プロフ) - 華月さん» うわぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!なるべく更新送れないようにしていきたいです(泣) (2021年12月25日 16時) (レス) @page31 id: 37f79c4fa9 (このIDを非表示/違反報告)
華月 - いつも見てます(*^^*) 無理のなさらないように頑張って更新してください! (2021年12月24日 13時) (レス) id: e87e41df15 (このIDを非表示/違反報告)
lotus_r(プロフ) - 柃。さん» コメント返信遅くなり申し訳ありませんでした!作者です!この作品ももっと更新頻度上げていきたいと思います! (2021年8月28日 1時) (レス) id: 37f79c4fa9 (このIDを非表示/違反報告)
柃。(プロフ) - 夢主ちゃんのもはや芸になってる鈍感が見ててもどかしいんですけど面白いです!これからも更新頑張ってくださいね^ - ^ (2021年8月16日 0時) (レス) id: 70c717cb52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lotus_r | 作成日時:2021年5月4日 2時