story124 side:you ページ30
『うーん、どっちがいいかなぁ…』
独歩と一二三と暮らし始めて1週間が経った。
2人は私に本当に優しく接してくれて、まるで昔に戻ったみたいで毎日が楽しい。
ところで今日はお決まりの左馬刻様のお呼び出しがかかって彼のご機嫌をとるためにバッチリ女の子をキメて行かなければいけない。
…のだが…
目の前にあるのは2本の口紅。
今までオシャレはほとんどしていなかったから、口紅なんて1本しか持っていなかったんだけど、左馬刻と知り合ってからメイクする機会が多くなって、口紅を新しく1本買ったのだ。
だけど正直、よくわからないまま適当に買ったので、既に持っていた物と色がそっくりなことに今になって気づいた。
そのせいで今日の服に合う色はどちらなのかさっぱりわからない。
…どうしよう…
独歩「A、」
『ん?あぁ、独歩』
独歩「何、してるんだ…?」
『あ、えっと…今日、友達と会うんだけどこの服に合うリップの色はどっちかなって悩んでて…。
そうだ!独歩はどっちがいいと思う?
これと、これ』
独歩「…そういうのは俺はよくわからないな、
多分、一二三に聞いた方がいいと思うぞ」
『そっか…
じゃあ、アドバイス通りに一二三に聞こうかな。
…一二三ぃ〜!』
一二三「ん?なになに?A〜」
『今日のこの服に合うリップってどっちだと思う?』
一二三「え〜Aは可愛いから、どっちも似合うと思うんだけどな〜俺っちは!
うーん、でも強いて言うなら…この、ちょっとオレンジっぽい方かな。
俺っちに貸してみ?塗ってあげる」
差し出された手に一二三が選んだ方のリップを乗せ、ソファに座る。
すると一二三が真正面、独歩が右正面に来て、私の顔をじっと見つめた。
つい恥ずかしくなって目をぎゅっと閉じる。
唇をなぞるリップの甘い香りが漂った。
一二三「A、目、開けて?」
一二三の静かな声が聞こえて目をゆっくり開くと一二三の顔がすぐそこに。
私たちの間は5cmくらいしか無かった。
『…っ、一二三』
その綺麗な顔につい、視線を逸らしてしまう。
一二三「やっぱり、Aは何しても可愛いじゃん」
一二三はそう言うとサッと私から離れた。
と、その時。
黙って見ていた独歩が手を伸ばし、私の顎をクイッと上にあげた。
独歩「…少し、はみ出してるだろ」
独歩は顎を持っていない方の手の指で私の唇の縁を優しく擦った。
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作者名:lotus_r | 作成日時:2021年3月11日 19時