story110 ページ16
朝、起きるとそこにはいつもとは違う風景が広がっていた。
まだぼんやりした意識の中で何かしょっぱい匂いが鼻腔をくすぐった。
『ここは…』
そうだ、ここは私の家じゃない。
一二三と独歩の家だ。
まだ重い瞼をこじ開けて、リビングへ向かう。
ジューとフライパンの上でタンパク質が焼ける音がした。
一二三「あ!A、おっは〜!
もうすぐでご飯できるから、座っててね〜!
あ、Aって鮭食べれた?
どっちかわからなかったから今日のところはハムエッグにしんだけど〜大丈夫?」
『うん。私、鮭食べれるよ。
でもせっかく一二三が作ってくれたんだからなんだって食べるけどね』
一二三「おっけおっけ〜!
じゃ、次からはAにも鮭焼くね〜。
うわっ!も〜こんな時間!独歩ちん起こさなきゃ!」
バタバタと慌ただしく動く一二三を観察しながら、朝の準備を終えて席につく。
うわぁ…朝ごはん、美味しそう…
独歩「A、おはよう。よく眠れたか?」
『独歩、おはよう!2人のおかげでぐっすり眠れたよ。ありがとう』
そんなことを言っている独歩だけど、昨日、仕事が休みだったようで、彼こそよく眠れた、というような感じだった。
準備を済ませた独歩と一二三も席につき、3人で挨拶をしてご飯を食べる。
『一二三のご飯、なんでこんなに美味しいの!?
洋食も和食もお手の物じゃん』
独歩「一二三の料理は毎日進化してってる。
それに比べて俺は…」
一二三「も〜独歩ちん!またそういうこと言う〜!すぐに自分の事否定するクセ、直さなきゃダメぢゃん?」
独歩「はは…そうだな。
…それにしても、昔を思い出すな。
昔もこうやって3人で飯を食ったよな」
『そうだね〜…そんな昔の事、独歩まだ覚えてるの?』
一二三「え〜俺っちも忘れてないよ?
Aと独歩ちんとの大切な思い出だからね」
『ふふ、懐かしい…』
独歩「ところでA、今日は何か予定あるのか?」
『ん?あぁ…お仕事はないんだけど。
シブヤの友達と会う約束はしてるよ』
独歩「そうか…それなら、合鍵、預けとかないとな」
『合鍵?』
おもむろに立ち上がった独歩が棚から取り出してきたのは使われた形跡がない鍵だった。
独歩「合鍵持ってた方が何かと便利だろ。好きな時間に出て、戻って来ることができるし」
『…私が、持っててもいいの?』
独歩「当たり前だ。な?一二三」
一二三「もっち、おっけーにきまってるっしょ!」
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作者名:lotus_r | 作成日時:2021年3月11日 19時