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『ご馳走様でした!』
一二三のご飯多いように見えたのに、とっても美味しくてあっという間に食べ終わってしまった。
こんな温かくて美味しいご飯は久しぶりに食べたな…。
今はもう居ない、家族の思い出が蘇る。
…どうして、あの戦争は私だけを残して、全てを奪ってしまったんだろう?
どうせなら…私も消してしてくれれば、戦争なんてこんなに恨まなかったのに。
一二三「はいはーい!美味しかった、A?」
『うん!とっても!』
一二三「良かった〜!後片付けは俺っちがやっとくから、先にお風呂入って来ちゃったら?」
『うん…何から何まで、ありがとうね?一二三』
一二三「全然だいじょうび〜!」
ニコッと笑顔を向けてくれる一二三にお礼を言って部屋へ戻る。
この脚はどうも動きにくくて大変だ。
これでは仕事にもならない。
ご贔屓にしてくださってるお客様が今の私に依頼しないようにメールを送らなきゃならないし…。
あぁ!もう!
あのスピードの車なら、ギリギリでよけれたのに!!!
部屋でそんなことを考えながら、パソコンを起動すると扉をコンコンと叩く音がした。
『はい!どうぞ入ってください!』
一二三「A、しっつれーい!」
『一二三、どうしたの?』
一二三「はい、これ!
怪我が治りやすくなるようにおまじないのローズティと俺っち特製マドレーヌ!」
『うわぁ、美味しそう!
だけど、貰っていいの?』
一二三「もっち!Aのために俺っちが作ったんだよ?」
『ありがとう、一二三』
一二三が渡してくれたマドレーヌをひと口食べると、蜂蜜の甘い香りが口の中に広がる。
『んん!美味しい〜!』
私はそう言ってもう一口それを食べた。
すると、「A」と一二三に右肩を掴まれた。
『一二三?』
一二三は私を見つめると、両肩を掴んで、私の身体を自分の方へ向けた。
そして、ゆっくり顔を私の顔へ近づける。
え!?
何?
こ、これってまさかキ、キス?
思わず目をぎゅっと瞑ると、口のわまりに生あたたかい感触が一瞬伝わる。
だけど、その熱はすぐに引いていって冷たくなる。
一二三「も〜Aはまだまだ子供だな〜!
口の周りにマドレーヌついてたよ〜」
『…っっ』
つまり、今、一二三は私の口の周りについたマドレーヌを舐めとったということだ。
だ、だよね?
一二三が私にキスなんて…
何考えてるの!!
『あ、ご、ごめん。ありがと…』
一二三も独歩も兄分なのに何意識してるの!私!
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作者名:lotus_r | 作成日時:2021年3月11日 19時