【ヒプマイ】月が満ちる時に。2

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一郎｢お礼？｣


三郎｢ほら！いち兄いつもおっしゃるじゃないですか！

誰かに助けて貰った時はしっかりお礼をする事って！｣



三郎がここぞとばかり顔を輝かせてそう言う。



三郎｢だから！僕が！

この僕が、お礼をさせてくださいって頼んだんです。

そしたら…あの人、お礼は何もいらないって言うので…｣


一郎｢さすが先生の知り合いだけあるな…良い奴なんだな｣


三郎｢名刺だけ渡してきました！

…いち兄のご知り合いでしたか？｣


一郎「ん？いや、お前らが会った後に俺らもたまたま会ったんだ。

そして今日ダチになった。

アイツは虚城Aって言う奴で…ヨコハマで日雇いのボディーガードやってるらしい…これ、名刺｣



さっき貰ったばかりのポケットの中の名刺を二郎と三郎に見せる。



二郎｢あんなひょろっとした女みたいな体でボディーガードなんてやってんのか？｣


一郎｢俺も正直驚いたが…乱数みたいなタイプなんだろう。体型に関係なく仕事こなしてるんじゃないのか？｣


二郎｢乱数って…元TDDの！｣


一郎｢あぁ、そうだ。

…しかし、お前ら外で喧嘩して赤信号の歩道に飛び出すなんて、笑えねぇぞ？

いい加減にしとけ｣


三郎｢はい…｣

二郎｢わかった…｣


一郎｢わかればいいんだ。

…じゃあ俺からも礼を伝えておくから、｣


三郎｢ありがとうございます！いち兄！｣


二郎｢ありがとう！兄ちゃん！｣


一郎｢あぁ。今日はもう時間が遅いから明日な｣



明日も学校がある2人を早く寝るように促してソファに座る。

にしてもあの髪の毛の色…

俺の見間違えか？いや、でもあんな色珍しいしな…

…アイツなのか？





いや、そんなわけない。“あの後”の消息は俺も聞いてねぇし…多分アイツだとしたら、俺を忘れてる訳では無いだろう。

今度、寂雷先生に聞いてみるか？

…少しずつ仲良くなって聞いていけばいいか。

何にしろ俺はアイツのMCネームしか知らないしなぁ…

それだけで人を判断するには無理があるよな。



三郎｢いち兄、僕もう寝ます！明日、テストがあって。

…まあ余裕なんですけど睡眠は取っておこうかなって｣


一郎｢そうか！三郎テストなのか。頑張れよ！｣


三郎｢っはい！あの…100点とったら頭…｣


一郎「ん？｣


三郎｢いえ！なんでもありません！！｣



どうした？三郎…

顔赤くして逃げるように行ったけど…大丈夫か？



いつもの様に弟を心配してる内にお前と出会った一日の夜は更けていった。

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