story91 ページ46
左馬刻の悲しそうな悔しそうな声でハッと我に返る。
2時間前、一郎のことを引きずってどこにも行きたくない、と言ってしまった私を左馬刻は自宅に連れてきた。
彼の家は信じられないほど広くて綺麗で、今座っているソファもとてもふかふかで大きい。
そして左馬刻は私に珈琲を淹れてくれた。
そのコーヒーを飲むと口の中に優しく、ほろ苦い味が広がる。
それなのに、私の脳裏の奥には悲しそうな一郎の顔が張り付いて消えなかった。
左馬刻「…ったく、今日、一郎に会わなくても俺様はここにお前を連れてくるつもりだった。
…お前だってさすがにわかんだろ?
お前【女】が俺様【男】の家に来るっていうことの意味を」
『左馬刻、』
私の声が音になって空気中に放出される前に左馬刻は素早く立ち上がり、私の身体をソファに押し付けた。
以前の独歩の時のように、左馬刻は私に馬乗りになって不機嫌そうに私を見つめる。
彼の瞳は悲しくて深くて、だけど星の煌めきを閉じ込めたみたいな色。
視界の中の中央に居座る左馬刻の顔を見てふとそんなことを考えてしまう私の頭はどうもこの状況をよく理解していないみたいだ。
左馬刻「そろそろ俺様を意識したらどうだ」
『意識?』
左馬刻「馬鹿なのか?」
呟くように、興味がなさそうに言葉を吐き出し左馬刻は私にキスをした。
左馬刻の温度が私に伝染して一郎に囚われた心が少しずつ左馬刻の方を向いていく。
ただ、勘違いしちゃいけない。
左馬刻は私のことを慰めてくれているだけ。
彼の気持ちを無下にしないでちゃんもお礼しなきゃ。
『…っと、き』
左馬刻「…ふ、…っ」
『…っま、き…さまとき、』
左馬刻「…っはあ」
『…左馬刻、ごめんね。ありがとう、でも大丈夫。
あの子は友達だからちゃんと話せばわかってくれると思うんだ、』
左馬刻「…あ?何を言ってやがる」
『私を慰めてくれようとしたんだよね。でもね私、』
左馬刻「っ、あーー!
まだ伝わってねぇのかよ?信じらんねぇ…もうやめだ!」
『?』
左馬刻「んでもねぇよ。今日はコーヒーのんでさっさと帰れ」
『うん。わかった。ありがとう』
私はぬるくなっても美味しいコーヒーを飲み干し、ソファから立ち上がる。
荷物を持って玄関に向かうと、左馬刻が見送る、とそこまで着いてきた。
『じゃあ、また』と言ってドアに手をかける。
すると、
パシっ!
左馬刻が「やっぱり帰したくねぇ」と私の腕を掴んで言った。
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hani-R - ルキさん» ルキ様。コメントありがとうございます。「ハマにハマれ」ですね笑わかりますめちゃくちゃわかります。ヨコハマは声優さんがキャラクター本人過ぎてもう心臓に悪いですよね…笑 (2021年2月13日 23時) (レス) id: dbddb190fe (このIDを非表示/違反報告)
ルキ(プロフ) - 僕の推しは寂雷先生と独歩ちんです!!!!!!!最近、浅沼さんにハマってそこから駒ちゃん神尾さんとどんどんハマもハマりつつあります! (2021年2月13日 15時) (レス) id: 5d86928a65 (このIDを非表示/違反報告)
hani-R - Rさん» R様。作者です!コメントありがとうございます!心中お察ししますよ笑笑ほんとにみんなかっこよくて可愛くてそれなのにバチバチのラップかまされたらそれはもう惚れますよね笑三郎君!可愛い!なのに神童!好きになるしかない!笑 (2021年2月4日 7時) (レス) id: dbddb190fe (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - コメント失礼します!!!推し?みんな顔が良すぎて‥三郎です!!!←もう、なんだよ‥顔が良いッ‥‥‥すいません取り乱しました‥失礼しました!!! (2021年2月2日 21時) (レス) id: 104d0cd352 (このIDを非表示/違反報告)
hani-R - らんらんさん» らんらん様、作者です!リクエストありがとうございます。全てを反映しきれるかわかりませんがなるべくストーリーに取り入れられるように頑張ります。これからも楽しんで読んで頂けると幸いです。 (2021年2月2日 18時) (レス) id: dbddb190fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lotus_r | 作成日時:2021年1月8日 1時