かきーん。 ページ31
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｢いや……いや、だって、うちら死ぬ方法を考えてるだけの仲だよ？クラスメイト、じゃないなら、何になんの。友達？｣
混乱する頭をなんとかしようと、思い付いたことをひたすら口にしてみる。
……その言葉に、岩泉が顔を歪めたのも気付かぬまま。
｢……別に、なんだっていいだろ。とにかく、花巻にフラれたらお前はすぐに死ぬと思った。だから、花巻に頼んだ。以上だ｣
胡座をかいていた状態から立ち上がろうとする岩泉の、カーディガンの裾を掴む。
そんな事実上のことはもう分かった。
そんなことより、そんな、ことより。
(そんなことより……何？)
ドクン。
｢……何だよ｣
どくん。
｢あ……いや｣
ドグン。
｢あー、はは、別に｣
カーディガンの裾を、そっと、離す。
何が何だか分からなくなってしまった。自分は結局、何が知りたかったのか。
どうして、岩泉が私を死なせたくないと思ったことに対し、あんなにも追及したのか。
しばらく私を見下ろした岩泉が、溜息を吐き、またその場に胡座をかいて座る。
｢……花巻とは、｣
少し睨みがちになっている目に怯えつつ、花巻とは、の後を勝手に推測して、口を動かす。
どうせ、花巻とはどうなった、と聞きたいんだろう。
きっと花巻は端的にしか伝えず、実際のところは何も知らされていないんだろう。
｢……デート、の途中で、花巻の好きな人と遭遇してね。なんていうか、それに気付いてしまいまして……。
私の方から、話を持ち出した。
好きな人、いるんでしょって｣
それを聞いて、岩泉が目を見開く。呆れを含んだその目。何を言いたいかは、容易に想像できた。
｢な、おま、ボケ！！馬鹿かお前は！そのままにしてりゃ、いずれお前を好きになったかもだろ……！！｣
勢いに驚きつつ、体を仰け反る。
うん、分かってた。分かってたよ、岩泉。
私だって、あんたの言う馬鹿じゃないよ。
｢……その、"いずれ"が訪れる自信が、私にはなかった。それに、好きな人がいる花巻を付き合うことで繋いでおこうなんて、狡いと思わない？｣
真っ直ぐ見つめ、本音を伝える。
全部本心だ。いや、少し違うかな。
好きな人がいる花巻相手に、私の心がもたないっていうのもあった。
きっと、途中で苦しくて折れてしまうだろうと。
｢お前……！お前なら、その"いずれ"は絶対来てたはずだろ！なんで！｣
その言葉を聞いて、薄く、微笑む。
｢私は、そんな好かれるような人間じゃないよ｣
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あいうえお - すみません他の作品のパスワード教えてほしいですー！ (2023年2月18日 22時) (
レス) id: 8655edc292 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - たまたま見つけたこの小説でしたが、読んでよかったなあと思いました。私も夢主ちゃんと同じ感じで何もないのに死にたいとかめっちゃ思います。だからこそ共感できるし、なんか同じ気持ちの子がいるんだなって嬉しくなりました。好きです！ (2021年6月19日 6時) (レス) id: 85ad8c6978 (このIDを非表示/違反報告)
お水。(プロフ) - まーちさん» いえ！こちらこそ読んでいただき本当にありがとうございます！感動したと言っていただけて本当に嬉しいです。コメントまで残して頂き、励みになります！本当にありがとうございました！ (2020年12月29日 18時) (レス) id: 5c541d7487 (このIDを非表示/違反報告)
お水。(プロフ) - まふにゃさん» 歌詞だったんですね！気付きませんでした！今度検索してみますね！コメントありがとうございます！ (2020年12月29日 18時) (レス) id: 5c541d7487 (このIDを非表示/違反報告)
まーち - こちらの作品とても感動しました。少し、少しだけ感情が薄い私がなきそうになりました。こんな素敵な作品を作っていただきありがとうございます。 (2020年12月10日 21時) (レス) id: 65334a4eed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お水。
| 作成日時：2019年1月12日 17時
