19話 ページ20
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「こんばんは。突然なんですけど、ここの責任者の方出してもらっていいですか？」
営業用のスマイルを振りまいて、古いビルの受付嬢に問う。名刺を出すと、はっとしたようにカウンターの電話を取り、「ご案内します！」と言った。
案内されたのは応接室。随分とボロ臭い。何年手を入れていないんだと問いたくなる壁紙の剥がれ具合や椅子の粗末さに思わず笑いそうになる。
「あの、どちら様で？何のご用でしょうか？」
「あぁ、失礼しました。私、こういう者です」
またも外面の笑顔を貼り付けて名刺を差し出す。名前と会社名を見た瞬間、ひどく驚いたようで「すぐに社長を出します！」と、挨拶も半ばに応接室を出て行った。
まさかとは思うが、ただの平社員なんてことはないだろうな？
無言のまま、舐め腐ってるなと不機嫌さを隠さず顔に出した。相手にも多少伝わるように。
こうすれば、向こうは勝手に色々勘違いしてくれる。そういう都合のいい心理は活用しなければ損だ。
「お待たせしました、坂田様。いつもお世話になっております」
「いえ、こちらこそ。いつもお世話になってます」
暫くすると、代表らしい男が部屋に入ってきた。安っぽい黒のスーツを纏っている。だが、この使い古された応接間にはちょうど良いお粗末さだった。
「それで、本日はどういったご用件でしょう？」
挨拶もそこそこに、早々に本題へ促す。
彼の額を見ると、少し汗ばんでいるのが分かる。当然だ。契約先のトップがわざわざ自分の会社に訪ねてきたのだ。この文字列だけで不穏な空気を感じ取れない人間はいないだろう。
「いえ、そんなに大層なことではありません。ただ、あなたの会社に少し、気になることがありまして」
だから俺も、極めてにこやかに続ける。
「私の会社で、あなたの会社について少し調べさせていただきました」
一言そう告げると、代表らしい男は表情を変えた。血の気が引くとでもいうのだろうか。注意しなければ分からない程度の変化だが、もちろん俺の目はごまかせない。
その顔色の変わり様から、やはりやましいことがあるんだなと再確認した。
「社員に通常業務外の業務を強要しているということ、間違いないでしょうか？」
「い、いや、そんなことは…」
「あなたの会社の社員の方から、お話を伺ったのですが。川崎さん、という方です」
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けんまおし1016(プロフ) - とてもおもしろいです！少し文章の間を広くしてくれれば読みやすいと思います！ (2022年8月17日 19時) (
レス) @page3 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃ(プロフ) - コメント失礼致します！！読んでて凄くきゅんきゅんしました、！！！素敵な作品を本当にありがとうございます😭💕💕 (2022年8月14日 5時) (レス) @page21 id: c45d7c6a24 (このIDを非表示/違反報告)
ノンレム睡眠 - 前々から気になってた作品で読んでみるとど好みストレートでびっくりしました🙃 これからも愛読させていただきます！神作ありがとうございます🙌❤ (2022年8月12日 18時) (レス) @page21 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ir | 作者ホームページ：http://manaaa
作成日時：2022年7月16日 22時
