18話 ページ19
.
「驚いたよ。あなたが1人の女性に縛られることを望むなんて。話を聞いた時はとてもじゃないが信じられなかった」
こいつが言ってるのはAちゃんのことだろうな。確かに、俺が誰かにここまで強い興味を抱くことは珍しい。
だが。
俺は揶揄うように笑う彼を睨め付ける。
「黙れ。無駄口を叩くな」
「はは、ちょっと揶揄っただけさ」
態度を改めない部下。
この場での絶対権力者が誰なのか忘れたのか?
「俺のことに口を出すな。お前は命じられた仕事をしていろ」
「あぁ、分かってるよ」
午後7時。
先程と同じドライバーの車に乗り込み、俺は目的の場所に向かう。この館から大して遠くない距離。30分も走らせれば着くだろう。
あの資料。
さらさらと読んだだけでも、あまりよくない企業ということが分かる。表向きはそこらの中小企業と何ら変わらない体をしているが、社員からの評判は非常に悪いようだ。
そういう会社なら俺が手を出すまでもなくすぐに立て直しがつかなくなるだろうが、こちらは個人的な事情なのだ。容赦をする理由も必要もない。
Aちゃんの顔が頭に浮かぶ。Aちゃんはこのことを知ったら、どんな顔をするだろう?相当会社が嫌いだったみたいだし、喜ぶんだろうか。
ふと、その上司を殺したら、Aちゃんはもっと喜ぶだろうか、と思う。
大嫌いな人間を、俺が殺めたら。この手で。
あの子は笑顔になる?
もちろんそんなことはしない。
Aちゃんは優しいから、きっと死体なんか見てしまったら悲しむに決まってる。
悲しむから、そんなことはしない。
189人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
けんまおし1016(プロフ) - とてもおもしろいです!少し文章の間を広くしてくれれば読みやすいと思います! (2022年8月17日 19時) (レス) @page3 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃ(プロフ) - コメント失礼致します!!読んでて凄くきゅんきゅんしました、!!!素敵な作品を本当にありがとうございます😭💕💕 (2022年8月14日 5時) (レス) @page21 id: c45d7c6a24 (このIDを非表示/違反報告)
ノンレム睡眠 - 前々から気になってた作品で読んでみるとど好みストレートでびっくりしました🙃 これからも愛読させていただきます!神作ありがとうございます🙌❤ (2022年8月12日 18時) (レス) @page21 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Ir | 作者ホームページ:http://manaaa
作成日時:2022年7月16日 22時