六振り目:ようは私が馴れ合いたい ページ32
そして大倶利伽羅が内番着に着替えて厨へやってきた。
さあ、ここで大倶利伽羅との距離を詰めていきましょうかね!
「戦い以外のことが必要なのか?俺がやらなくても、他にやれるやつがいるだろう」
……むむむ…手強い予感…。
「でもここもいずれ大所帯になるから、料理ができる人が増えてくれた方が有り難いの」
「適材適所という言葉があるだろう」
「でも大倶利伽羅、調理のノウハウを覚えておけば出陣が長引いたときに役に立つよ。本丸ならともかく、戦場じゃ他の刀が作れるとは限らないでしょう?」
「…わかった」
私の言葉に大倶利伽羅は存外素直に従った。
「…それで、ここの引き出しの中には調理器具を入れてあるからら」
黙って大倶利伽羅は私の説明を聞いてくれている。
……最初の衝撃的すぎる発言から考えるとちょっと拍子抜けというか、構えすぎていたかな…と感じる。
私の話を素直に聞いてるその姿を見て、どうやら私はとてもお喋りになってしまったらしい。
「…私ね、審神者になる前は料理人だったんだ」
「……」
ちらりとこちらを見たあと、作業を続ける大倶利伽羅。
ああ、何故だろう。君はどんな話をしても濁したりせずにちゃんと聞いてくれそうな気がするんだ。
「食事って人の…いや、生き物の生涯の営みだから、果てのない、終わりのない仕事なんだよね。
それに食は多くのつながりをくれる。
人と人、人と食材、人と大地。
そのつながりはとても尊いもので、私の人生にとってとても代えがたく、沢山の知識と経験を与えてくれて、私を豊かにしてくれた。
食という字は、『人を良くする』と書くしね。
だから私は料理が大好きだし、せっかく人の姿で顕現したみんなにも、食を通じて私が得てきた喜びだとかを感じてもらえたらなって思ってね」
私の話を、大倶利伽羅は黙って手を動かしながら聞いてくれる。
「っていうのが、本音だったりする!ごめんね、戦場云々は割と後付け」
「………」
私をチラッと見たあと、大倶利伽羅はまた無言で手を動かした。
「……大倶利伽羅。ここでは貴方のしたいようにしていいし、好きに過ごしてもらって構わないよ。
でも、人の身を得た今、刀ではできないことを沢山経験してもらえたら嬉しいな」
だから、馴れ合わないなんて寂しいこと…言わないでほしいな。
❃❃❃
「…んーま!!主さん今日のご飯もめちゃめちゃ美味いぜ!」
ふふん…!国俊リクエストのグラタン…上手くできたんじゃないかな?
六振り目:和やかな食事の席→←六振り目:馴れ合ってもらわなくちゃ困るんですが
353人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まなみ(プロフ) - みゆさん» 了解致しやしたああああああああああああ!← (2018年11月4日 15時) (レス) id: 5229721b17 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 続き待ってますううううううううう!← (2018年11月4日 15時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
まなみ(プロフ) - ユユユさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてうれしいです! (2018年11月1日 6時) (レス) id: 5229721b17 (このIDを非表示/違反報告)
ユユユ - すごく面白いです!更新頑張って下さい。応援してます! (2018年11月1日 5時) (レス) id: f0e41eea19 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:○●まなみ●○ | 作成日時:2018年9月20日 22時