66 ページ45
伏黒くんは、私の腕にかかっていた紙袋に目を止めたようだった。
「それ、受け取ってもらえなかったんですか?」
『違う、渡せなかっただけ。土壇場で尻込みしちゃったの。』
「もう渡す予定ないですか?」
『ないよ、自分で食べようと思って。』
「…じゃあ、俺がもらって良いですか?」
『え?良いけど…。甘いのそんなに好きじゃないよね?』
「たった今、好きになったんです。」
『…なにそれ、伏黒くん面白いね。』
ちょっとふざけたこと書いてるけど、ごめんね、と言いながら伏黒くんにガトーショコラの入った紙袋を渡した。
伏黒くんは大事そうに紙袋を胸に抱えながら、
「ありがとうございます。」と笑顔を見せてくれた。
『またいつか、会えると良いね。』
「会えますよ、多分。」
互いに笑顔を浮かべながら、伏黒くんと別れた。
そのまま事務員さんの運転する車に乗る。
駅まで送ってもらう約束になっていたからだ。
だんだんと遠く、小さくなっていく高専を車の窓から眺める。
もうここに来ることもないだろう。
本当に濃い半年間だった、いや、半年とちょっとか。
相手は恋愛ごっこのつもりだったが、私はちゃんと本気の恋をした。
きっとこの経験が、私を大人に一歩近づけてくれるのだろう。
運転している事務員さんに気づかれないように、小さく笑った。
京都校に着いたのは22時前だった。
新幹線は定刻通りに京都駅へと到着したが、その後の電車が大幅に遅れた。
疲れも倍増だ。
早く部屋で寝たい。
そう思いながら高専の門をくぐり、玄関の方へ目をやると、壁によりかかる1人の人影が見えた。
いや、正確には人ではないかもしれないが。
『…待っててくれたの?メカ丸。』
「…話を聞くって約束だったからナ。」
454人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢花(プロフ) - ユリ.さん» ふふふwwwそうなんですかwwwこれぞ小説のちか(((殴 メタメタァ (2021年5月7日 9時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ.(プロフ) - 夢花さん» マジで息できないですよね。(笑)終わった後息も絶え絶えになりますもんね!夢主ちゃんも呼吸困難になったと思いますが、ここで死なせてもアレなのでちゃんと息できたことにしてます。(笑) (2021年5月7日 7時) (レス) id: c519aef02a (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 普通にこしょこしょは死人でますよ?だって息できないもん{笑ってるから}(・_・) (2021年5月6日 16時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ.(プロフ) - 陽菜月さん» 口から心臓はやばい!(笑)しまってしまって〜(笑)もう少し待っててくだされな!まだ本調子になれず…(;_;) (2021年4月16日 6時) (レス) id: 5035154a58 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜月 - もう、続きをワックワック胸を踊らせながら待ってます!!(ワックワック!んあ!?ワクワクしすぎて口から心臓が!?グロイ!) (2021年4月15日 22時) (レス) id: 6820255b8b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユリ. | 作成日時:2021年4月2日 20時