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ガトーショコラを渡そうと、紙袋を掴んだ。
でも、なんと言って渡せばいいか分からなくなった。
しかも、フった相手からチョコの違いをもらうとかちょっと怖いかも?
時間として1秒も経ってないと思うが、脳内で検討した結果、渡すのは辞めた。
自分で食べればいい。
『コレ…はいいや。』
少し不思議そうにしている五条先生だったが、深くは聞かないでいてくれた。
『私、もう行きますね。五条先生、甘いもの食べ過ぎて糖尿病にならないように気をつけて下さいね。』
「…気をつけるよ。ありがとう。」
『ふふっ…、じゃあ五条先生、
さようなら。』
「……うん。」
職員室を出て、高専の廊下を進む。
五条先生に渡すはずだったガトーショコラの入った紙袋の持ち手をもつ手にグッと力が入る。
泣くな、高専出るまで泣くな。
いや、出来れば京都の寮に戻るまで泣くな。
唇を噛み締めながら玄関へと向かう。
誰にも会いたくない。今の姿を見られたくない。
だから、
「美澄先輩」
…お願いだから、今は誰も話しかけないで。
* ・ *
話しかけてきたのは伏黒くんだった。
「…五条先生に挨拶してきたんですか?」
『そうなの。今日私が帰ること忘れてたみたい。』
「…そうですか。それで、
美澄先輩はどうしてそんなに泣きそうな顔してるんですか。」
伏黒くんにそう言われた瞬間、私の目からポロリと涙がこぼれ出てしまった。
一度流れてしまうと、次から次へと溢れてしまい、どうしても止めることが出来ない。
見かねた伏黒くんは、自身のポケットからハンカチを取り出して貸してくれた。
小さな声で御礼を言った。
「…好きだったんですか、五条先生のこと。」
『…そうだね。五条先生は特別授業をしてくれてただけだったけど。』
「は?」
『ふふっ…、なんでもない。』
しばらくすると私の涙も落ち着いてきた。
鼻はまだずるずると鳴っているが、新幹線の時間もあるので、あまりゆっくりはしてられない。
『ごめんね、ハンカチ。洗って郵送するね。』
「いや、良いですよ。持っててください。」
『…伏黒くん、男前だなぁ。伏黒くんを好きになれば良かったなぁ。』
「…そうですね。」
悪戯っぽく言ったら、悪戯っぽく返してくれた。
こういうノリに少し救われた。
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夢花(プロフ) - ユリ.さん» ふふふwwwそうなんですかwwwこれぞ小説のちか(((殴 メタメタァ (2021年5月7日 9時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ.(プロフ) - 夢花さん» マジで息できないですよね。(笑)終わった後息も絶え絶えになりますもんね!夢主ちゃんも呼吸困難になったと思いますが、ここで死なせてもアレなのでちゃんと息できたことにしてます。(笑) (2021年5月7日 7時) (レス) id: c519aef02a (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 普通にこしょこしょは死人でますよ?だって息できないもん{笑ってるから}(・_・) (2021年5月6日 16時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ.(プロフ) - 陽菜月さん» 口から心臓はやばい!(笑)しまってしまって〜(笑)もう少し待っててくだされな!まだ本調子になれず…(;_;) (2021年4月16日 6時) (レス) id: 5035154a58 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜月 - もう、続きをワックワック胸を踊らせながら待ってます!!(ワックワック!んあ!?ワクワクしすぎて口から心臓が!?グロイ!) (2021年4月15日 22時) (レス) id: 6820255b8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリ. | 作成日時:2021年4月2日 20時