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五条先生と別れた後、私は皆の部屋に行き、京都校に帰るということを伝えに行った。
元々半年間という期限付きではあったものの、皆なんとなく五条先生がどうにかしてくれるだろうと思っていたようで、その反応は皆共通して驚きと落胆の織り混ざった複雑なものだった。
その中で伏黒くんだけが少し違っていた。
確かに驚きも落胆もしていたが、伏黒くんが発した言葉に、今度は私が目を見開く番だった。
「もしかして…五条先生と何かありましたか?」
『…何かって?』
「さっき、五条先生と廊下ですれ違ったんですよ。珍しく元気が無かったので。」
伏黒くんは自分が五条先生のことを気にしているのが恥ずかしいのか、首の後ろを手で押さえている。
『…何もないよ。初めから、何も無かった。』
私の答え方に違和感を覚えたのか、さらに口を開こうとする伏黒くんの言葉を遮り、荷物まとめるからもう行くね、と言って逃げるようにその場を去った。
部屋に戻り、段ボールを組み立て、手当たり次第に物を詰めていく。
ここに来た頃よりも、荷物が増えた。
特に、服が。
ショッピングが好きな野薔薇ちゃんと一緒に行動していたら、ついつい自分も服を買ってしまうのだった。
服は皺にならないように気をつけながら、箱に詰めていく。
大分スカスカになったクローゼットでイヤでも目につくのが、あの花火大会で着た浴衣だった。
見ていると、どうしてもあの日の事を思い出す。
五条先生の青い瞳と少しだけ涙で滲んだ花火、あの日の空気感、全部鮮明に覚えている。
浴衣を小さく折り畳んで、胸に抱いた。
心がどうしようもなく苦しくなってしまう。
この浴衣を見る度に苦しくなるくらいなら、いっそ今捨ててしまおうと思い、指定のゴミ袋にそっと入れた。
それから3時間程集中して作業していたら、部屋も大分スッキリした。
台所用品だけまだ詰めていなかったので、とりあえず冷蔵庫の中身を確認する。
ちょうど買い物に行く前だったので、大したものは入っていなかった。
だが、バレンタインが目前に控えていたのでケーキとクッキーの材料を買っていたのであった。
みんなにはクッキー、五条先生にはガトーショコラあたりをあげるつもりだったのだが、どうしようか。
少し悩んだが、食べ物を粗末にするのはどうかと思ったので予定通り作ることにした。
今作ってしまわないと、台所用品も仕舞えないので早速とりかかる。
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夢花(プロフ) - ユリ.さん» ふふふwwwそうなんですかwwwこれぞ小説のちか(((殴 メタメタァ (2021年5月7日 9時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ.(プロフ) - 夢花さん» マジで息できないですよね。(笑)終わった後息も絶え絶えになりますもんね!夢主ちゃんも呼吸困難になったと思いますが、ここで死なせてもアレなのでちゃんと息できたことにしてます。(笑) (2021年5月7日 7時) (レス) id: c519aef02a (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 普通にこしょこしょは死人でますよ?だって息できないもん{笑ってるから}(・_・) (2021年5月6日 16時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ.(プロフ) - 陽菜月さん» 口から心臓はやばい!(笑)しまってしまって〜(笑)もう少し待っててくだされな!まだ本調子になれず…(;_;) (2021年4月16日 6時) (レス) id: 5035154a58 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜月 - もう、続きをワックワック胸を踊らせながら待ってます!!(ワックワック!んあ!?ワクワクしすぎて口から心臓が!?グロイ!) (2021年4月15日 22時) (レス) id: 6820255b8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリ. | 作成日時:2021年4月2日 20時