60 ページ32
Aはゆっくりと僕を包んでいた手を離した。
名残惜しかった。ずっと触れていて欲しかった。
『…とりあえず、帰りましょうか。』
「…そうだね。」
それ以上はお互い何も言わず、ゆっくりと歩き出した。
Aが先を歩き、その3歩程後ろを僕が歩く。
歩きながら、前を歩くAの丁寧に手入れをされたであろう髪の毛が、Aの歩く動きに合わせてふわふわと揺れているのを見つめていた。
つい先日まで、その髪に触れようと思えばいつでも触れることができた。
でも今はそれも許されないのだろう。
あの日硝子とあんな話をしなければ、Aはきっと今も自分の側で笑っていたはずなのに。
今までの人生で、後悔とかそういう類いのものをあまり経験したことがない。
仕方のないことなんだと、自分にしか出来ないことなんだと分かっていた。
正確に言えば、最強となるきっかけとなった日。
引き換えと言うにはあまりにもそれは酷いものだったが。
だけど、今目の前を歩いているAはどうだろう。僕の下らない意地で、純粋で美しい彼女の心をただ傷つけただけだった。
何も得るものはなかった。
虚しさしか残らなかった。
どのみち、どんな関係にもなれなかったかもしれないが、それならそれでもっと違う形で終わらせたかった。
454人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢花(プロフ) - ユリ.さん» ふふふwwwそうなんですかwwwこれぞ小説のちか(((殴 メタメタァ (2021年5月7日 9時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ.(プロフ) - 夢花さん» マジで息できないですよね。(笑)終わった後息も絶え絶えになりますもんね!夢主ちゃんも呼吸困難になったと思いますが、ここで死なせてもアレなのでちゃんと息できたことにしてます。(笑) (2021年5月7日 7時) (レス) id: c519aef02a (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 普通にこしょこしょは死人でますよ?だって息できないもん{笑ってるから}(・_・) (2021年5月6日 16時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ.(プロフ) - 陽菜月さん» 口から心臓はやばい!(笑)しまってしまって〜(笑)もう少し待っててくだされな!まだ本調子になれず…(;_;) (2021年4月16日 6時) (レス) id: 5035154a58 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜月 - もう、続きをワックワック胸を踊らせながら待ってます!!(ワックワック!んあ!?ワクワクしすぎて口から心臓が!?グロイ!) (2021年4月15日 22時) (レス) id: 6820255b8b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユリ. | 作成日時:2021年4月2日 20時