この恋は期限付き2【五条悟】

番外編【来たれ！呪術高専！】2 ページ11

その後はパンダくんによってPCに撮影データが取り込まれ、どの写真を採用するかで揉めた。

多数決にて2枚に絞られ、それぞれにキャッチフレーズがつけられた。

1枚目は「来たれ！呪術高専！」

2枚目は「君も一緒に呪霊を祓おう！」

キャッチフレーズの位置まであぁでもない、こうでもないと揉め、なんだかんだでそれっぽいポスターが完成した。

まあ、ポスターを作ったところでこんなものを街中に貼るわけにもいかないので、高専内の自動販売機が置いてあるスペースに貼り出されることとなった。
本当に誰得なのだろうか。

しかし、このポスターが一波乱呼ぶことに、まだ誰も気付いていなかった。


＊ ・ ＊ ・

「あ〜…クソだる。」


俺の名前は佐藤武雄。

普通に大学入って、普通に就職して、就職した会社はブラック企業だったから3ヶ月で退職して、1年フリーターをした後、自動販売機の補充の仕事に就いた。

楽では無い仕事。

しかも、俺の担当エリアに宗教学校だか、なんだかよく分からない高専があるのだが、そこがまた辺鄙な場所にあるので行くのが物凄く面倒くさい。

だが、行かなければジュースが補充されていないとクレームが来るので、こうやって来たわけである。

さっさと補充して帰ろう、そう思って自動販売機の前に立ったときである。

2枚のポスターが目に入った。

1枚目は「来たれ！呪術高専！」と書いてあるポスター。女の子が小首を傾げて微笑んでいる。

２枚目は「君も一緒に呪霊を祓おう！」と書いてあるポスター。同じ女の子が片手をガッツポーズしながら笑顔を見せている。


呪霊とは？なんだか聞き慣れない言葉だが、このポスターの女の子、いかんせん可愛い。
綺麗と可愛いの良いとこ取りをした様な女の子。
CGなのか？呪術高専なぞと言いながら、実際にやっているのはデジタル専門学校みたいなことなのだろうか。

そう思いながらポスターを眺めていた時だった。

隣の自販機に人が立った。

ふと見ると、ポスターの女の子だった。
実在したのか。しかもポスターよりもずっと可愛い。

その女の子は少しも迷う素振りを見せずに100%りんごジュースのボタンを押した。

ガコン、と落ちて来たジュースをしゃがんで取りながら、視線を感じたのか俺の方を見た。

そしてほんの少し微笑みながら、会釈をしてくれた。

咄嗟に俺も会釈を返した。

彼女はそのまま立ち上がり、スタスタと建物の中に消えていった。

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