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鞄を漁り、昨日買った厄除御守の入った袋を取り出して、五条先生に渡した。
『これ、昨日買ったんですけど。五条先生が持っていたほうがいいかもしれませんね。』
五条先生はキョトンとした顔で袋を開けて、中に入っている厄除御守をつまんで取り出した。
「何これ?なんでこんなの買ったの?」
『…なんかお守りを買いたい気分だったんですよ。』
「…ふーん。ま、いいか。ありがとう、貰っておくよ。」
そう言ってお守りを上着のポケットに入れた。
まあどうせ、職員室の机の中あたりに適当にポイってされるんだろうと安易に想像できる。
『渡しといてなんですけど、五条先生がお守り持ってるってなかなか変な感じですね。最強がお守りに頼っている的な。」
「本当、渡しといてそれ言うのはダメでしょ。」
2人で人の流れに従って歩きながら、境内の出口を目指す。
途中、社務所に少し目をやった。
大丈夫、お守りは明日でも明後日にでもまた買いに来ればいい良いだけの話。
別に売り切れるようなものでもないし。
そう思いながら、正面を向き直した時だった。
「あ、ごめん。ちょっと待ってて!」
急に五条先生が声をあげて、私を置いて小走りで社務所の方へ走っていった。
先生が社務所に何の用だろうと思いながら、ぼーっとその様子を見ていると、手に小さい袋を持って、私の元へ帰ってきた。
「はい、これ。Aにあげる。」
手渡された袋を開けるとそこには欲しかったピンクの恋愛成就のお守りが入っていた。
「厄除御守のお返し。最強があげたお守りだからね。これで恋愛運も爆上がり!」
五条先生はふざけているようだったが、私はとても嬉しかった。
素直に喜びを表現できれば良いが、私はこう言うところがひねくれているので無理だ。
『…むしろ下がりそうじゃないですか?恋愛運。』
「言ってくれるねぇ。恋愛も百戦錬磨のGLGがあげたお守りだよ?」
『GLG、まともな恋愛したことなさそうですけど。』
まぁ貰っておいてあげますよ、と言いながら私は鞄に大事にお守りをしまった。
それを見ていた五条先生は私の頭をぽんぽんと叩きながら、
『良い恋愛しなよ、A』
と、どこか寂しそうに笑うのだった。
───思えば、この時が幸せの絶頂だったのだろう。
幸せが壊れる時というのは、突然にやってくるものだ。
誰かこの時の私に教えてあげてくれないかな。
君はこの後絶望をみるんだよ、と。
そうすれば、少しは心の準備もできたのに。
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夢花(プロフ) - ユリ.さん» ふふふwwwそうなんですかwwwこれぞ小説のちか(((殴 メタメタァ (2021年5月7日 9時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ.(プロフ) - 夢花さん» マジで息できないですよね。(笑)終わった後息も絶え絶えになりますもんね!夢主ちゃんも呼吸困難になったと思いますが、ここで死なせてもアレなのでちゃんと息できたことにしてます。(笑) (2021年5月7日 7時) (レス) id: c519aef02a (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 普通にこしょこしょは死人でますよ?だって息できないもん{笑ってるから}(・_・) (2021年5月6日 16時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ.(プロフ) - 陽菜月さん» 口から心臓はやばい!(笑)しまってしまって〜(笑)もう少し待っててくだされな!まだ本調子になれず…(;_;) (2021年4月16日 6時) (レス) id: 5035154a58 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜月 - もう、続きをワックワック胸を踊らせながら待ってます!!(ワックワック!んあ!?ワクワクしすぎて口から心臓が!?グロイ!) (2021年4月15日 22時) (レス) id: 6820255b8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリ. | 作成日時:2021年4月2日 20時