Forget me not 【勿忘草】

・Ep14 ページ15

その日から私は本当の引きこもりになってしまった。


学校も行かない。

遊びにだって行かない。



どこにも行かないで、

カーテンを閉め切った自分の部屋で生活した。







ママもパパも同情してか、

「学校に行きなさい」

なんて言葉、言ってこなかった。


それが私には好都合で、

ただひたすら、奏のいない世界の暗さを知った。








奏と通った学校

奏と行った公園

奏と遊んだゲーム



たくさん思い出はあるけど、

どれも寂れて見えた。









引きこもりをしていくうちに、

私は食を断つことが多くなった。


遊ばないし、勉強もしない。

行動範囲がほとんど自室の私に、

ママが作ってくれるごはんの食材は贅沢だ。









そして。

なくした声。








奏を振った自分の声。

奏の死を引き留められるようなことを放てなかった声。

一緒に帰ろうって強く主張できなかった声。





どの声も自分の声。

憎い。

いらない。

なくなればいい。

奏を死に導いたのは私で、私の声だ。





奏は、手紙の中で後悔しなくていい。

Aのせいじゃない。




必死にそう主張していたけれど、

私にとってはそうはいかない。


自分の声がどんどん黒く、憎くなっていく。









引きこもりを始めて、

１週間が経った時。


どんなきっかけでか忘れたけど、

声が出なくなったことに気づいた。



あぁ、末期だ。


そう思ったのは、明確だ。

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