Forget me not 【勿忘草】

・Ep10 ページ11

次の日。


目が覚めて、リビングに行くと誰もいなかった。





その代わり、テーブルの上に朝ご飯と置手紙があった。







【Aへ
ママたち、先に出るね。
ここにあるご飯食べて、しっかり学校に行ってください！
今日も元気にいってらっしゃい！
　 ママ・パパより】






近くにはスクランブルエッグなどがのった皿とパンがあった。









静かに朝ご飯を食べて、身支度を済ませ

家を出た。









奏。









私たちは家同士がそれなりに近い。


だから、いつもなら家からすぐの交差点で待ち合わせして、

そこからは一緒に学校に行くのに。





今日はいないね、君は。









学校に着くと、

朝の会なしのすぐに帰りの会だった。









理由は、学校の職員全員が奏の捜索に出るからだ。









夏休み明けなのに、

【宿題を出せ！】なんて言ううるさい先生が１人もいなくって、

先生たちはみんなバタバタ。









帰りの会の先生のお話で、

奏のことが言われた。









昨日から家に帰ってなくって、

昨日遊んだ海やその周辺を捜索中だと言う先生。



まだ、奏の持ち物等なにも見つかってないから、

捜索が一応続いていた。









学校で帰りの会が終わって、

1人でゆっくり歩いて家に帰った。



いつものようで全然違かった。








いつもの空き地も、

奏がいなかったら、ただの空き地だ。

奏がいたら…、空き地でも最高の遊び場だった。









確かこの時に気づいたんだ。


本当は、奏のこと好きだったんじゃないかって。




カッコいくて、人気者の尾崎君なんて、

アイドルのような存在でしか思ってなくって、








本当は、本当は……、









奏のこと、大好きだったんだって。









そう思った時には、もう遅かったよね。

目の前に奏はいないんだから。

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