Forget me not 【勿忘草】

・Ep11 ページ12

その日の夜。

ママたちも帰ってきて、

お風呂や夕ご飯を食べて、

奏はいなくなっても、通常通りの日常があった。







昨日、ママたちは奏のことを探しに行ったけど、

そのことには家族全員が触れなかった。







何もかも済ませて、後は寝るだけの状態。

ボーっとテレビを見ながら過ごす。







すると…、






ピーンポーン♪





と家のインターホンが鳴った。









夜８時を回っていた時間で、だれかの訪問。









ママは皿洗いをしてたし、

パパは新聞を読んでたから、私が玄関のドアを開けた。









インターホンを鳴らした主は、




【奏のお母さん】だった。









奏母「あ、あなたのせいで！」









ドアを開けた瞬間、

そう叫んで、

奏のお母さんは私向かって封筒を投げてきた。









封筒は無残に玄関の床に落ちた。








『え…。』







びっくりして、何が何だかわからなかった。

なんで奏のお母さんは怒っているのか。







パパとママが近づいてきたのが足音で分かった。








奏母「え、じゃないわ！
あなたのせいで、もう少し生きられたかもしれないのに！
死ぬことなんてなかったのに。」


父「どういうことですか？」


奏母「奏、病気なのよ！
余命も告げられてたわ。
でも、自分から逝ったのよ！
あなたのお子さん、Aちゃんのせいで！」



『…病気』


父「A、なにかしたのか？」


奏母「あなたが奏の気持ちに応えていたら、少しは変わってたかもしれないのに！
どうして一緒に帰ってこなかったのよ！
もういいわ。

とりあえず、ご報告だけします。
奏は、見つかってませんが、
私と旦那宛ての手紙とAちゃん宛ての手紙と靴だけ見つかりました。浜辺で。
それでは失礼します。」









奏のお母さんは、それだけ言い残すと、

帰っていった。









涙が出てきた。

何の涙かわからなかったけど。









知らなかった、奏が余命を告げられるほどの重い病気を持っていたなんて。

聞いてないよ、奏。








奏のお母さんは、きっと何があったか知ってる。

私と奏の間で。









私は色んな気持ちがこみあげてきて、

落ちた手紙を取って、

２階の自分の部屋にその日からこもった。

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