Forget me not 【勿忘草】

・Ep12 ページ13

カチカチ…。






時計の秒針が時を刻む中、

奏の手紙をじっと握りしめて泣いた。









目を覚ますと、朝だった。







鳥のさえずりがいつもより軽快に聞こえて、

イラっとする。




空気読んでよって思ってしまう。









握りしめていた手紙は、

若干ぐちゃぐちゃ。








開けて読む、その行為がすごく重かった。

抵抗っていうか、

恐いっていうか。


色んな感情があって、封を開けることすらできなかった。









時計を見ると、

もう学校に行く時間。









行きたくない。








すると、ノックと同時にママの声がした。









母「A、起きてる…？」


『…』



母「つらいよね。
今日は学校行く？」


『…』




母「行かないよね。
ねぇ、奏君の手紙読んだ？」


『…』



母「何もしなくていいから、話さなくていいから。
奏君の気持ちはちゃんと理解してあげとこうね？
もし読んでないのなら、ゆっくりでいいから読んで。

ここに、ごはん置いとくね。」









お母さんが１階に降りていく足音がした。









自分の部屋の扉を開けると、

朝食が置いてあった。



食べる気にはなれないや。

ごめん、ママ。









謝りながら、扉を閉めた。








ママ、読んだ方がいいって言ったよね。

奏も読んでほしいから書いたんだもんね、手紙。








私が怖がってたら、ダメだよね。

意を決して、封を開けた。

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