本音 ページ10
｢今京治とハグしててなんか離れたくない、って思った。｣
頭を俺に押し付けてくる。
本当に可愛い。
赤葦｢A、顔見たい。顔上げて。｣
｢嫌だ、｣
赤葦｢なんで？｣
｢だって今泣いちゃってるから…このままでいたいの｣
そう言って俯く彼女の頭を撫でる。
赤葦｢どうしたの、｣
｢よくわかんない、なんか涙が出てきちゃった｣
赤葦｢そっか、｣
腹部に暖かく冷たい感覚がある。
きっとAの涙がTシャツに滲んでいるのだろう。
赤葦｢A、俺さ、Aと付き合った時から
ずっと俺でいいのかなって思ってた。
俺にはすごい勿体なくて、でも好きで、
ずっと悩んでた。まあ、今もだけど。
でもこうやって必要としてくれて最近は
俺でいいんだって少しずつ思うことが出来た。
俺を必要としてくれてありがとう、｣
｢うぅ…京治好き〜｣
彼女は顔を上げて俺にそう言った。
赤葦｢泣きすぎ、真っ赤だよ、｣
指でそっと涙を拭うとまた涙がこぼれた。
｢今日京治と寝る…｣
赤葦｢え、部屋汚いけど、｣
｢それでもいいって言ったら嫌？｣
上目遣いなんてされたら
赤葦｢じゃない、｣
断れなくなる。
｢やった、｣
赤葦｢そういえば手伝って欲しいことがあるんだ、｣
｢ん、手伝う！｣
抱きつかれたまま部屋に向かう。
赤葦｢よっ…と、｣
ドアを開け、電気をつけると
床に散乱した教科書やバレー関係の本を
踏まないように避けながら部屋に入る。
｢数2…合宿中も勉強してんの？｣
Aは本を拾い集めながら俺に尋ねてきた。
赤葦｢合宿終わったら大会ばかりで
勉強できる気がしないから今のうちにって思ってさ。｣
空いてる空間に布団を敷き、床に座った。
｢光太郎に勉強教えてるんでしょ？｣
赤葦｢基礎だけしか教えられないけどね、｣
｢京治勉強出来るもんね、｣
集めた本を机の上に置いて俺の隣に座る彼女。
赤葦｢そんなことはないよ、｣
｢そうかな〜、ねえ、私にも勉強教えてよ｣
赤葦｢もちろん。｣
｢あ、でも忙しいよね…｣
きっと木兎さんとの勉強の事で
Aは遠慮したのだろう。
赤葦｢あのさ、俺これでもAの彼氏なんだけど。
Aのこと優先するに決まってるじゃん。
もっと頼ってほしい。…俺じゃ頼りない？｣
｢ごめん、十分頼ってる気でいたんだけど…
京治の事すごい頼れるし、好きだし、
だから少し遠慮しちゃうとこもあるけど
頼って欲しいって前に言われたからなるべく頼るようにしてたんだけど、そんな思いさせてるとは思わなかった、ごめんなさい｣
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作者名：まなか | 作者ホームページ：http://mana_no_syo_settu
作成日時：2019年4月20日 0時
