哀愁 ページ41
「へえ…」
赤葦「メンバー混ぜるのって意外と楽しいんだよね」
月島「いつもとは違って新鮮ですからね。」
2人が解説したり、感想を言い合っていると
私のスマホが鳴った。
2人が私を見つめる。
「ごめん、電話。出てくる。」
赤葦「別にここでもいいよ、」
「ごめんね、」
そう言って電話に出る。
「もしもし、」
黒尾「あー、Aちゃん?」
「はい、」
黒尾「仲直りできた?」
「はい、無事に。どうしたんですか?」
黒尾「いや、なんか気になって。
今日は戻ってこないって言うからお宅の部員が
何だか落ち着かなくてさ。」
「京治もいないですもんね、すみません…」
黒尾「そうそう。ツッキーもいないし。」
「私のわがままで着いてきてくれて…
ご迷惑をおかけしました。」
黒尾「まあ、今日はゆっくり休んで。
で、明日顔見せてよ。待ってっからさ。」
「あの、黒尾さん」
黒尾「ん?」
呼び止めておいて、言葉が出ない。
黒尾「その言葉は明日聞くことにするわ。
じゃ、おやすみ。」
「…おやすみなさい」
言わなくてもわかる、と言わんばかりに
黒尾さんは私の言葉を聞かなかった。
赤葦「黒尾さん?」
「うん、蛍くんと京治が居なくて
落ち着かない、って。」
赤葦「大袈裟だなあ」
月島「黒尾さんですからね、」
「なんか可愛そう笑」
桜結「Aちゃんは京治の部屋で寝るんだっけ?」
「あ、はい」
桜結「布団持っていった方がいいよ、今日寒いから」
そう言ってリビングの収納を開けて
布団を取り出してくれた。
「ありがとうございます。」
赤葦「あ、俺持つよ」
布団を持ち上げるなり、
それを京治がひょいと持ち上げた。
「私も持つ、」
赤葦「じゃあこれ持って。」
いちばん軽い布団を渡され、京治の後を歩く。
「さっき、黒尾さんにお礼言えなかった」
赤葦「明日言えば大丈夫だと思うよ、」
部屋に入り布団を置くなり
ベッドに腰かけた京治は言った。
「うん…でもせっかく心配して電話くれたのに」
やっぱり申し訳なくなって
暗いままのスマホの画面を見つめる。
赤葦「A、」
手招きされて目の前まで行くと頬を撫でられる。
「…っ、」
思わず涙が溢れ出した。
赤葦「わ、ごめ…泣かせるつもりはなくて、」
「ごめん違うの、勝手に泣いてるだけだから…」
赤葦「うん。不安にさせてごめん」
「違う、そうじゃない…」
赤葦「俺も、泣きたい」
彼は悲しそうに消えそうな声で確かにそう言った。
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作者名:まなか | 作者ホームページ:http://mana_no_syo_settu
作成日時:2019年4月20日 0時