放物線軌道~アネモネの花~ (ページ33)

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お泊まりページ33

赤葦｢ごちそうさまでした。｣
そういうなりすぐに食器を洗う彼のことを
家庭的だなと思いながら見てると
視線に気づいたのか、
赤葦｢なに、どうしたの。｣と首を傾げた。

｢ちゃんと片付け自分でするんだなって思って。｣
赤葦｢なんか癖になっててさ｣
｢セッターなのに水仕事して大丈夫？｣
赤葦｢終わってから保湿してるから多分平気。｣
彼は自分自身の手を眺め、また食器洗いを始めた。

｢京治、部活戻んないの？｣
赤葦｢正直、木兎さんに合わせる顔がない｣
｢光太郎も分かってくれるよ、大丈夫｣
赤葦｢いや、そうじゃなくて、殴られたから…｣
ああ、そういえば。と思い彼の頬に目線を移すと
湿布が貼られている。

｢当の本人は落ち込んでたよ。｣
赤葦｢はは、木兎さんらしい。｣
食器を洗い終えたらしく、手を拭いて
私の目の前の席に座った。

｢色んな人に迷惑かけちゃったから
謝ってこないと。私、蛍君と一緒に戻る。｣
赤葦｢…俺も行きたいけど、姉ちゃん今日で
しばらく帰ってこないから、今日は休みたい。｣
悔しそうに唇を噛んだ彼の手を思わず握った。

｢うん、明日来るの待ってる。｣
赤葦｢待ってて、必ず行く。｣

月島｢2人して何言ってんですか。
たかが合宿に戻るだけでしょ。｣
いつの間にか戻ってきた月島くんが
ため息混じりにそう言った。

｢まあまあ。笑
あ、桜結さん平気だった？？｣
月島｢ぐっすり眠ってますよ。｣
｢よかった…｣
月島｢心配なら残ってもいいですよ｣
｢でも、マネの仕事あるし、蛍くんも練習しなきゃ…｣
月島｢黒尾さんがいいって。｣
そう言って月島くんは私にスマホの画面を見せた。

赤葦｢えっと…布団あったかな…｣
そう言って京治はバタバタと部屋を出た。

｢私まだ何にも…｣
月島｢赤葦さん寂しいっぽいし
一緒に居てあげたらいいじゃん｣
｢うん…でも光太郎になんて言おう｣
月島｢黒尾さんが適当に話しておく、ってさ。｣
｢明日お礼言わなきゃ…｣

京治は戻ってくるなり上の階を指さした。
赤葦｢月島は父さんの使ってないベッド使って。
上あがって1番奥の部屋。で、Aは…｣
｢私はどこでも寝れるから布団貰えれば大丈夫。｣
赤葦｢いや、俺のベッド使って。｣
｢でも京治が…｣
赤葦｢俺は適当に寝るから大丈夫。｣
｢じゃあ…お言葉に甘えて…｣
月島｢俺まですみません、｣
赤葦｢人数多い方が何かと楽しいからね。｣

そう言った京治は嬉しそうだった。