弱音 ページ18
黒尾「勝手な話だけど、Aちゃんのこと
妹みたいだって思ってる。」
俺は、そうやって見てた。
黒尾「だからさ、しんどい時は
黒尾さん、助けてって言ってほしい訳よ。
そしたら助けるし、泣いてもこうやって
胸貸してやっから。」
「ごめんなさ、黒尾さ、ん、助けて、
助けてくださ、っ、」
鼻声のAちゃんの助けて、って言葉が
心に刺さって俺自身も苦しくなる。
黒尾「よく出来ました。
このジャージ預かってていい?
ちゃんと本人に返すから。
あと、赤葦には無理に理由聞かなくていいよ。
しんどいなら、黒尾さんが何とかしとくから。」
「はい…、ありがとうございます、」
ある程度泣き止んだ彼女の顔を覗き込む。
黒尾「あー…目、真っ赤。温めないと…」
白福「はい、温かいおしぼり。」
背後からおしぼりを手渡され、
受け取ってAちゃんの目にそっと当てた。
黒尾「ありがとう、っていつから居たの?」
白福「さっき??赤葦のジャージの話から〜」
黒尾「結構最初の方じゃん…」
白福「Aちゃん、大丈夫〜?」
「雪ちゃん…ありがとう、」
俺からおしぼりを受け取って、
梟谷のマネを見るAちゃんは儚げだった。
白福「いいえ〜、辛いなら今日部活休んでいいよ?」
「ちょっとだけ休みたい…」
黒尾「赤葦には、しばらく会わない方がいいな」
「でも会わないと何にも…」
黒尾「だからさ、頼ってってば。」
「はい…頼ります、」
黒尾「赤葦の前でよく泣かなかったね、偉い偉い。」
わしゃわしゃとAちゃんの頭を撫でると
Aちゃんは涙を滲ませた。
「泣いたら、私が辛くなる…」
赤葦にジャージの件を話して、
その返事を聞くまでの過程は、
Aちゃんの心を壊すのに十分すぎる。
黒尾「よく我慢しました。」
白福「頑張ったね、」
「…私、」
Aちゃんが何かを言いかけた時、
それを遮るかのようにAちゃんのスマホが鳴った。
「ごめんなさい、」
そう言って画面を確認する彼女を見ていた。
きっと相手は赤葦だ。
Aちゃんは俺の事を見て、涙を堪えている。
「黒尾さん…」
黒尾「赤葦?」
頷く彼女からスマホを取ろうとすると
梟谷のマネが、先に取って、電話に出た。
白福「どうしたの?」
「雪ちゃん、」
黒尾「大丈夫。」
彼女がそれ以上声を出さないように、口を抑える。
白福「Aちゃん今忙しいみたいだから、
うん、大丈夫。お昼くらいから私たちも
そっち行けるようにするから」
そう言って通話は終わった。
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作者名:まなか | 作者ホームページ:http://mana_no_syo_settu
作成日時:2019年4月20日 0時