すぐそばに君はいた −3−

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時間はあっという間に過ぎていき、


ライブの時間になった。




円陣を組んで気合を入れたあと、


近くにいるメンバーにハグをした。




程よい緊張で力の入る腕に抱きしめられると、


なんか、あぁもうすぐライブだー


って感じがするんだよね。



もちろんライブ前なんだけど。




樹「A。」


「頑張りましょう。」


樹「うん。」



ぎゅっと力を込めて抱きしめてくれた樹の背中を


軽くトントンっと叩いた。



樹「よし。気合い入った。」


「私も。」





翔平「A、いつものよろしくお願いします。」


「よっ！」



バチンっと力いっぱい、


少し前傾姿勢になってくれた翔平の背中を叩いた。




翔平「相変わらずヘボヘボだなぁ。」


「でもこのヘボヘボを求めに来るんじゃん。」


翔平「まぁ、そうですけど。」




そう言いながら、


普段は照れて嫌がるのにハグをしてくれる翔平。




まぁ目が合わないから恥ずかしいんだろうけど。




これが私のライブ前のルーティン。




観客からの歓声の中ステージに上がった。




どんな仕事よりも1番ライブが好き。



こうやってファンの皆さんと


ひとつになれるライブが大好き。




ライブ中、衣装にネックレスが絡んで


まこに直してもらってる姿がカメラに抜かれた。




手を止めて2人でカメラ目線すると、


きゃーって悲鳴が聞こえた。




「ありがと。」


慎「はい。」




ポンッと私の頭に手を置いて、移動した まこ。




たったそれだけの事なのに


ファンの人達の歓声ってすごい。






タオルを振って盛り上がってる最中、


自分の顔をポンポンっと拭いてから、


そのタオルをニヤニヤしながら


近づけてきた壱馬さん。




全力で首を振って後ずさりすると、


顔！って笑われた。




ライブ中だろうと、テンションが高くても…


それは川村壱馬エキスがついているタオルであって、


無理なものは無理！




そんな些細なことも


ファンの人達は見逃さないからすごい。




壱馬さんとの絡みは珍しいからなぁ。





でも、それ以上にそんなことしてるのに


自分のパートを音も外さず、


ちゃんと歌う壱馬さんがすごい。

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