信じてもいいですか？ [４]

173 樹side ページ17

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樹side



彰吾「いっちゃん、今日元気なくない？」


樹「そうっすか？」


彰吾「なんかあった？」


樹「いや…。」




なんかあったかと聞かれたら、


確実になにかはあった。


でもそれを山彰さんに相談するべきことなのか、


ちょっと悩んでる。



本当にしょうもないことだから。




彰吾「Aちゃんのこと？」


樹「まぁはい。」


彰吾「何？」


樹「いや…。」





事の発端は2日前の朝。



鹿児島に学会発表のため


2泊3日の出張に行くことになったA。



行きたくないと言いながらも、


後は家を出るのみ。準備万端。




テーブルに置いてあるAの携帯の液晶が


ぱっと明るくなった。




樹「…。」



誰からのLINE通知なのかなんてどうでもいい。



それより…




樹「待ち受け変えたの？」


「ん？あーうん。」


樹「…。」




俺のインスタにあげてる写真を


待ち受けにしていたはずなのに、


実家の猫に変わってた。




「色々とあるのよ。」


樹「色々って？」


「ん？色々は色々。じゃ、時間だから行ってくるね。
マース行ってくるねー。」


樹「…。」




マースの頭を撫でて、


行ってきまーすって家から出て行ったA。





色々って…なんだよ。




彰吾「なんだ。そんなことかよ。」


樹「まぁ…はい。すみません。」




周りから見たらそんなことで終わること。



でも…別れていた時でも


待ち受けは俺の画像だったAが、


なんで変えたのか…気がかりだ。




彰吾「別に理由なんてないんじゃない？」


樹「…。」


彰吾「まぁ最悪、他の男がいるとかね。」


樹「…。」


彰吾「あの子はないと思うけど。」


樹「…出張、研修医も一緒なんすよ。」


彰吾「あの例の？」


樹「はい。」


彰吾「でもそれは片付いたやつでしょ？」


樹「はい。」


彰吾「大丈夫だって。
あの子、いっちゃん以外に興味ないって。」




信じてはいる。


Aが浮気をするような子じゃないと。




でも…




彰吾「気になるなら聞けばいいじゃん。」


樹「違うんすよ。山彰さん。」


彰吾「ん？」

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