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第二章[血統を恨み] ページ5

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 ハリー・ポッターとその取り巻きの英雄たちが賢者の石を守り抜き、グリフィンドール寮が1位を取ってから数ヶ月後。


 「やっと戻って来られたわ」


Aはすっかりスリザリン寮が好きになっていた。他寮からすれば性格の悪い奴等の集まりかもしれないが、思ったほど悪くもない。


 しかし彼女は心の奥底で、痛みに耐えなければならなかった。


 「貴女って、相変わらず綺麗ね…」


ルームメイトのパンジー・パーキンソンにうっとりと頭を撫でられながら、彼女はいつもの罪悪感に苛まれる。


 パンジーはこの瞬間にも、私が穢れているってことを知らないんだわ。


 また、「穢れた血」なんてワードが飛び交うのは、この寮では当たり前であった。それを聞く度に、その場に合わせる為自分でマグル生まれを批判する度に、Aはキリキリと胃が痛んだ。


 「ねえ見て、ハリーポッターたちの空飛ぶ車が、穢れた血の目にも止まったらしいわよ」


パンジー・パーキンソンはAの頭を撫でるのを辞めると、新聞を広げながらそう言う。


「A、ちょっと手伝ってくれないか」


しかし彼女の心を軽くする人物が、蛇寮の中に一人だけいた。


 「穢れた血」、「マグル生まれ」。そんな話題がAに振られたのに気がつくと、ドラコ・マルフォイは必ずと言っていいほど彼女をその場から立ち退かせる口実を作った。


「気を使わなくていいのに、ドラコ」

「別に気など使っていない。本当に手伝って欲しかっただけだ」


彼の不器用な優しさがなければ、Aは恐らくスリザリン生として、自分に嘘をつきながら生活することに耐えられなかっただろう。


「ありがとう、ドラコ」


彼は一年前と同じようにうっすらと口角を上げると、「おやすみ」と一言言って去っていった。



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- 最近この小説を知って面白くて読んでます!貴方様の小説すごく面白いのでゆっくり待っています!頑張ってください! (2021年2月20日 21時) (レス) id: e6d54d0e11 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごく面白いです!!!たのしみです (2021年1月13日 1時) (レス) id: 50dc2b53cf (このIDを非表示/違反報告)
梨雪(プロフ) - ピンクジョイさん» ありがとうございます(T_T)励みになります...!もう少々お待ちください...( (2020年12月29日 7時) (レス) id: 9863b06866 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクジョイ(プロフ) - すごく面白くて読みやすいです!更新遅くてもいいので続き楽しみにしてます^^* (2020年12月11日 16時) (レス) id: eb4e569138 (このIDを非表示/違反報告)
梨雪(プロフ) - tokitaさん» ありがとうございます(T_T)最近忙しくて思うように更新出来ていないのですが必ず続き出します、、、!!! (2020年11月28日 18時) (レス) id: 1aa1f35963 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梨雪 | 作成日時:2020年8月29日 10時

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