血濡れの桜は見廻組総長でした

十九枚目 ページ21

沖田side


今日は、何故か寝付けなかった。

昼寝のし過ぎはねぇだろう。俺は何時間でも寝てられる。

けど、今日は寝られる感じがしない。


倒した土方コンチキショーの数を数えても、やけに時計の秒針の音が邪魔をしてきやがる。


あえて理由を挙げるとしたら…………



アイツだ。

今井A。

……惚れたとか、そんなんではない。

たしかに綺麗だとは思ったが、俺は一目惚れなんてモンは信じねぇ。


アイツは……Aは。

Aの、髪と同じ色をした桜色の目は、澄んでこそいたが、人殺しの眼をしていた。

人を何人も何人も斬ってきたであろう奴特有の、鋭い光を宿した眼。


それに、Aは、どこか万事屋の旦那に似ていた。

外見のことじゃない。

が、何処が、と言われたらなにも言えない。


何処と無く、掴み所のない旦那に、既視感を覚えたことだけは確かだ。


…………土方を数えてるのをやめてアイツのことを考えてたら、余計目が覚めやがった。

クッソ…………。



寝ることを諦めると、ふと朝の天気予報を思い出した。

「一日を通して快晴。今日は満月なので、夜になると月がよく見えるでしょう」、だったか。


もう、寝れないな……。

そう思ったということも、少なからずあると思う。


俺は、いつも行く、空がよく見える縁側に向かった。

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