血濡れの桜は見廻組総長でした

十八枚目 ページ20

貴女side


あ…………。

「沖田、起きろ」って、ダジャレじゃん。

面白くない？はっは！ …………。


まって、今の無し。


「……てめぇ、いつから居たんでィ？」

「結構……前だけど」


「気付かなかった……」と呟く沖田。

なんなんだコイツ。


なんでだ、なんで私に気付かなかった。私の影が薄いからか。これでも本職は見廻組の総長だぞ。あ、それともあれか。私が気配消すのが上手すぎて気付かなかったのか。はっはっは！ だろうな！ 私は天才だからな！


…………やめよ。


「……なんでいるんだよィ…………」


なんでって……


「なんか、寝れなかった。
…………沖田も、寝れなかったんでしょ」


睡眠の迷宮は、一度入ると抜け出すのは至難の技だからね。

よくわかるよ、うんうん。

私は、幾度となく迷い混んで会議に遅れて始末書祭りだったからなぁ……。


「…………寝れねぇのは同じでさァ。

けど、理由はテメーみてぇに下らなくねぇ」


馬鹿言うな。

私だって迷宮に入り込んじゃったんだ。立派な理由だろが。


「じゃぁ、沖田。お前の理由はなんなんだよ？」


ちゃんとした理由があんだろ、迷宮よりも。


「……土下座姿やらひれ伏した姿やらを数えても、土方のヤロー、起き上がってくるんでさァ。

必死になってる内に目が覚めちまってねィ」


………………。


やはり、コイツも睡眠の迷宮に迷い混んだ仲間らしい。

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