血濡れの桜は見廻組総長でした

十六枚目 ページ18

貴女side


ヤバい、眠れない。

それ所か、時間が経つにつれて目が覚めてく。

どんどんどんどん眠れなくなる。


枕ってこの位置でいいんだっけ。目ぇ閉じてる時って目玉上にするんだっけ、下にするんだっけ、横にするんだっけ。そもそも寝るってなんだっけ。目ぇ閉じてるだけじゃん。目ぇ閉じてても昼間とかは明るいじゃん。目っていうか瞼閉じてるだけじゃん。ずっと瞼の裏見てるだけじゃん。



寝 れ な い 。


駄目だ。寝ようとすればする程、睡魔が遠退く。

目ぇパッチリだもん。


ギンギラ●ンにさり●なく所じゃないよ。さりげなくないもん。


…………ん？

なんだろ。

襖の向こうから匂いがする。


強い奴の匂い。

拭っても拭っても消えない、血の濃く、鈍い匂い。


……あぁ、沖田か。

一番隊は、確か真選組の中でも最も危険で、戦いの最前線に立つ。

隊長レベルとなると、それは尚さらだ。


この血の濃さは、沖田だけ。


きっとアイツも睡眠の迷宮に入り込んじゃったんだろう。


そっと覗いた襖の向こうに見える沖田の背中は少し寂しげで、儚げだったから、

もしくは、一応上司だから、

…………私と似ていたから、


音を立てないように、襖を開けた。

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