九話 ページ10
「やだぁ、こんな体勢でっ、台詞なんか読めないよ…!」
「…お前がビクビクしてるから進まねぇんだろィ。だったら俺に慣れるんでさァ。怖がんじゃねぇや」
私は沖田くんの膝の上に向かい合わせで乗せられていた。なんでこんなことになるのか分からないし理解したくもない。それに沖田くんがにやにやしてるの、知ってるんだから!
「…姫。貴女が最近東方の男と密会しているという噂を耳にしたのですが…それは本当ですか?」
「…っ!このまま、始めるの…?ねぇ、ほんとにやだよ…っ、沖田くん…っ」
「…台詞」
有無を言わせない沖田くんの雰囲気に肩が強張る。…沖田くんを怒らせたらもっと変なことをされるかもしれない。それだけは…やだ。
「…そんなこと、ないです。私には貴方だけ」
「……なら、キスしろよ」
「…ッ!沖田くん、台詞ちが、んっ…!」
首を噛まれて背筋が凍る。…やだ、いやだ…っ!また中学の時みたいにあんなことされるの?もうやだ…!
「やだっ、離して…沖田く、んぅ…っ!ぁ、さわんないでぇ」
胸を触られて泣きたくなる。沖田くんなんか大嫌いだ。こうやって私を苦しめることで楽しんでる。もう動いてほしくなくて、沖田くんに抱きついた。
「…ヘェ。積極的だねィ」
「っちが、もうやめてっ!…っ、なんで、こんなこと…するの…!」
「…お前が嫌いだからに決まってんだろィ。いい加減離しなせぇ」
「っやだ!沖田くんがもう私に触らないって約束してくれるなら離す!」
「…んなの無理でさァ。お前の嫌がる顔、見てぇんだからなァ」
「…ッ」
それでも泣きそうになりながら抱きついていると、沖田くんが笑う気配がした。気になって顔を少し上げて見ると、沖田くんが黒い笑みじゃない純粋な笑みを私に浮かべていた。初めてのことで思わず見惚れていると、沖田くんと目が合う。
「…お前は昔から強情過ぎるんでィ。…だから、泣かせたくなる」
「…沖田くんが笑ったの、初めて見た…」
「…もっと可愛いがられてぇみてぇなんで、少し難易度上げやしょうかねィ」
「…っきゃ」
抱き上げられて机に押し倒される。そのまま唇を奪われた。突然のことで、うまく抵抗が出来ない。
「…ん、ふぅ…っ!ん、ぁ、んっ…」
「…ハ、お前昔からキスされん時どんな顔してるか、知ってやすかィ?」
「ん、知らなっ、…んぅ、ふ、ぁ」
「…すげぇ、えろい顔」
耳元でそう囁かれた時には、私はくたくたになってしまって抵抗なんか出来なかった。
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光華(プロフ) - お疲れごはん、リアルタイムで楽しく読ませていただいてます!こちらも面白いです!私は完全に土方さん推しなので、土方さんに落ちないかな((殴 どちらも更新楽しみにしてます! (2020年6月6日 22時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マピト | 作成日時:2019年12月6日 22時