十三話 ページ14
「テメェこの野郎!藍澤のこと何だと思ってんだ!」
「…ってェ。…ハッ、土方さん。アンタに殴られんのはお門違いじゃねェですかィ?早速こいつの彼氏気取りですか」
「そうじゃねぇだろ!こいつが傷付くことはするなっつってるだけだ!藍澤は許しちまうんだよテメェみたいな腰抜け野郎がしでかしたことを!」
山崎くんに押さえられながらそう怒鳴る土方くんが私を見る。こんなに私なんかの為に怒ってくれてる、そう思うと凄く嬉しかった。それと同時に、私もしっかり立ち向かわないとって。
「土方くん、ありがとう。でも私、庇って貰わなくて大丈夫だよ。…ちゃんと、自分で言うから」
大人しくなった土方くんが握り締めていた拳を解いた。私が座り込んだ沖田くんの目の前にしゃがんで、口を開く。
「…沖田くん、私に今までしてきたこと。謝ってくれる?」
「…お前に謝ることなんざねェよ」
「…そっか。なら、いいよ。これで」
ぱん、と思ったより軽い音が響いた。目を見開いて驚いてる沖田くんに笑ってしまいそうになる。…この音は私が沖田くんを叩いたから…ではなく、私が自分の掌を合わせて叩いた音だった。
「…これでもう仲直り!私、今気付いたんだけどね。沖田くんと普通に話したり、遊んだり友達になりたいんだって。中学の時、友達一人も居なくて。まぁそれは沖田くんのせいでもあるんだけど。でもよーく考えたらあの時話してたのって、私のこといじめて構ってた沖田くんだけだったなって。なんだかんだ、普通に少しだけ話したりしたときは楽しかったから。だから、友達になりたいよ」
だめかな?と首を傾げると沖田くんの顔がみるみる赤くなっていった。目も私から勢い良く晒しては、はとかえ、とかいう音がぶつぶつ口から漏れている。
「…べべべつに、駄目じゃねェ、んじゃねェ、ですかィ?おお俺は知らねェけど?」
「ふっ、あははっ。沖田くんのそんな慌てたの、初めて見た」
「わ、笑うんじゃねェ」
「えへへ、ごめんね。沖田くん、これからよろしくね?」
おぅ、と俯きながら背を丸めて呟く沖田くんに、私はまた笑った。沖田くんは意地悪だけど、少し可愛かったり、するんだ。そんなことを思ってると、土方くんが私の頭を撫でた。
「…よく、頑張ったな。お前って、すげぇよ」
「そ、そうかな。土方くんもありがとう。さっき、心配してくれて凄く嬉しかった」
土方くんが何故かいきなり真っ赤になった。…クラスの皆んながこの時、私のことを魔性の女と呼んでいたのは、私が知る由もないのであった…。
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光華(プロフ) - お疲れごはん、リアルタイムで楽しく読ませていただいてます!こちらも面白いです!私は完全に土方さん推しなので、土方さんに落ちないかな((殴 どちらも更新楽しみにしてます! (2020年6月6日 22時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マピト | 作成日時:2019年12月6日 22時