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お月様が見てる 10 ページ25

ランチタイムが終わる頃、神父宮田がニコニコしながらやってきた。


「今日もハロウィンメニューいっぱい注文入ってたね」


「だな。食べ終わったとこに順番に呼ばれて、写真ばっか撮ってたわ」


「そうだよね。オレ、3回に1回あるかないかなのに、ガヤさん毎回だったもん」


「トシくんもけっこう呼ばれてたって」


「そうかな〜」


 へへっと笑う。

 ところでさ、と宮田は続ける。


「キタミツ、何かあったの?」


「え?」


「なんかさ、今日のキタミツ変じゃない?」


「変?」


 気を悪くしたらごめんね、と宮田は続けた。


「なんかさ、ガヤさんがいるときだけ変なの。だから、てっきりガヤさんとケンカでもしたのかなって」


「………」



「あっ、いや、ガヤさんがどうとかじゃなくて、もし、キタミツがガヤさんとのことで困ってるなら、なんとかしてあげたいと思ったんだ。キタミツ、お兄ちゃんだけど、不器用なところあるから助けたくなるっていうか…」


一人あたふたする宮田。


「優しいな、トシくん」


「ガヤさんに言われたら照れるな〜。」


 頭をかくような仕草で宮田が笑う。

 オレは、今朝の北山の様子を話してみることにした。

 変だという宮田の話を聞いて思いつくのはそれぐらいしかない。





「なんかそれ、ロッカールームラブだね!」


「ロッカールームラブ!?」


「そうだよー。曲がり角でぶつかってそこから恋が芽生えるラブストーリーとかさ、定番だけどきゅんとするよねー!」


 オレがハマってるアニメでさぁ、と宮田が盛り上がっているのだが、アニメに疎いのに話に入れるわけもなく。


「あっ、ごめんね。一人で盛り上がっちゃった。」


 両手を振って謝りながら、


「キタミツが元気になれるように、なんか考えて見るねっ!」


 神父を呼ぶテーブルへ行ってしまった。




 空いた席を片しながら思い出してみる。


 何かある時はいつもロッカールームなオレたち。


 ホント、ロッカールームラブだわ。




 それにしても。

 オレの前だけ変って何?




 トレイをキッチンに運びながら店内に目をやれば、どこにいるか一目でわかる赤ずきん。


 今見ている限りでは、いつも通りの北山だ。


 何かあるなら、オレの方こそ教えてほしい。




 北山、


 オレのこと…


 どう思ってるの?





.

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作者名:lettuce | 作成日時:2022年9月11日 2時

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