秋の空�� ページ9
閉店作業の最中、オレと藤ヶ谷は店の奥の
小さな事務所にいた。
店長に呼ばれて来たものの、肝心な店長は
まだここにはいない。
「店長、早く来ねーかな」
沈黙に耐えかねたオレは、
スマホを触るフリをしながら呟いた。
「わざわざオレらを呼んで話って」
シフトの話じゃないよな。
LINEでいつも連絡くるし。
呟きは狭い事務所の壁に吸い込まれた。
またやってくる沈黙。
なんだか、気まずい。
ガタンと大きな音が響いたかと思うと、
店長が事務所に入ってきた。
「お疲れ様です」
店長は片手を上げた。
「わりぃな。疲れてるとこ。」
コレを相談したくて、と数枚の紙を小さな机
に広げた。
「来月のイベント、この中のどれかにしようと
思ってさ。」
オレと藤ヶ谷は広げられた資料を手に取って
目を通す。
「店長…。これ、冗談も混ざってます？」
「どれも本気だけど。
何、オレの企画にダメ出し？」
「や、そんなつもりは…。」
「面白い企画だなーって。ハハ…」
てっきり、
季節のフルーツを使ったスイーツ！
とか
なんたら国料理フェア！
とかだと思ったんだけど。
コスプレスタッフと写真撮影！
期間限定メイド喫茶！
イケメンスタッフ総選挙！
って何⁉︎
「全部いっぺんには無理だからさぁ、
まず一つやってみようと思ってるんだよ」
お前らならどれでもできるだろ？
って。
店長、それ
オレたち、拒否権ありませんよね？
苦笑いもできないオレと藤ヶ谷。
店長は、ニヤリと笑って爆弾を投げる。
「で、お前ら何かあったの？」
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作者名：lettuce | 作成日時：2022年9月3日 23時
