蚊帳の外の話

そして、当日 ページ10

やってきました、工学祭！入り口ではウチの1年が組んだ電飾が、殺風景な門を華やかにしている。やるじゃん。わたしもあーゆーのがやりたいんだよ。

学祭ほどの盛り上がりはないけど、けどやっぱりみんな浮き足立っていて。慌ただしそうにする人、受かれて頭にキラキラ巻いてる人、なんかソワソワしてる人…いろんな人がいる。

私の隣にいる岩本照は、ソワソワ勢。あーうっとうしい。

私らの店番時間は、オープンの9:30〜11:00、12:30〜14:00の２回。
大介くんと休憩が合うのは14:00以降。それにしょっぴーも合わせてくれた。11:00〜12:30はチョコタイムです。

正直朝はスマホもみんな充電されているから、空いているだろうという計算なのだが。大介くんのお仕事は10:30かららしくて、それまでの間に覗いてくれるらしい。
だから、ソワソワしてるってわけ。

電気科らしい、黄色いエプロンをぎゅっと握りしめて落ち着かない姿は、もう女子。私より女子。
そんなでかい図体してなにしとんのもう。




A「ねぇちょっと落ち着けば」

岩「むり…」

A「ソワソワしてたってこないよ」

岩「そうだけど…落ち着かないんだもん…」




もんって…女子…完全に好きな子を待つ女子…
てかこの２人だとどっちが右なんだ？雰囲気だと大介くんだけど…この女子感だと逆もあり得る…？ないか？んーー…




岩「あっ！佐久間！」




下世話なことを考えていたら、来たらしい。おお、大型犬の耳がピンッって立ったみたいな雰囲気出しちゃってまぁ…




岩「佐久間、お疲れ」

佐「にゃはは、まだ始まったばっかだから疲れてないよん」

岩「いや、けど、迷わなかった？大丈夫？」

佐「だてさまと来たから」

岩「あっ…そうなの」

佐「そう。Aちゃんもおっちー」

A「あっ、おはよう」

宮「初めまして、姫」

A「姫！？」

宮「宮舘涼太です」

A「あっ、篠原Aです」

宮「佐久間、俺姫から説明聞きたいから、佐久間は照に相手してもらいな」

佐「にゃす！」





だてさまと来た、と聞いてわかりやすくしゅんとなったひぃくんに、多分気を利かせてくれたんだと思う。
私の肩を抱いて(この言い方で合ってるはず)、ソーラーパネルまで連れてきてくれた。





A「だてさま、ですよね、LINEではおせわになってます」

宮「こちらこそ。今日はよろしくね」

A「はい！」





自転車の説明を楽しそうにするひぃくんたちを見ながら、改めて共闘を誓い合った。

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