Act.45 ページ47
.
「あー、緊張する、あー無理、あー」
「うるせぇ!黙ってろ!」
緊張を解したくて無駄に声をあげてたら天に頭を叩かれた。痛い…。
そんな天も緊張してるからか、ずっと体を動かしている。普通なのは坂さんだけだ。
「坂さーん、チョコ食べたーい。」
「お前チョコ食い過ぎだって。普通にご飯を食べろ。」
「食べるけどさ、チョコ美味しいんだもん。」
「でも今はダメだ、終わったらな。」
緊張を解すものその2、甘いものを食べる。あたしの好物はチョコなのだが、今日はすでに板チョコ3枚は食べてるから坂さんに怒られた。でも終わったら食べていいということで、やっぱり坂さんは娘に甘いと思う。(会話を聞いてた天が、父親と子供の会話…とボソッと言ったから殴ったら殴り返された。痛い…。)
「NO NAMEさん、スタンバイお願いします!」
スタッフさんからの呼び出しに2人の空気が変わったのを感じる。椅子から立ちステージの袖近くまで行く。お客さん達の声が聴こえる。
ステージ近くまで来ると一気に緊張は消えた。でも、ピンと糸を貼ったような心地いい緊張感はある。2人の顔を見ると、2人とも同じような顔をしていた。
「さて、なんか円陣的なのやる?」
「えー、オレらいる?」
「エイエイオーとか?やる?」
『いやそれはない。』
よくステージに上がる前に円陣をする、というのは見るのだがあたし達には必要だろうか、と確認すると予想通り天は要らない、と言うが坂さんはやりたいと間が物語っている。でもエイエイオーはない。天と声が被ったわ。
「エイエイオーじゃないけど、精神統一みたいなやつは?」
あたしの左手を前に出す。
「精神統一なら、まあ…。」
その上に天の左手が重なる。
「じゃあそれは、Aに任せようか。」
最後に坂さんの手が重なる。右手はそれぞれ、隣にいる人の背中に回る。
「…やっと、ここまで来れた。ここまで来るのに、何度挫折したか分からない、でも…。2人とだからここまで来られるって信じてた。でもここはゴールじゃない。目指す場所はまだある。スタートラインに立てたばかりだ。
さあ、ピエロのステージを、観客の皆様に見せつけようか。
Recognition is the significance of my existence.
Let me approve, my music….」
さあ、NO NAMEのステージが始まるよ。
楽しい時間の始まりだ。
.
70人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mameiyiteng3(プロフ) - りるとさん» ご指摘ありがとうございます、早速直させていただきます!申し訳ありませんでした。 (2020年2月14日 17時) (レス) id: a55d9f83ab (このIDを非表示/違反報告)
mameiyiteng3(プロフ) - Riさん» 遅くなり申し訳ありません!ご指摘いただきありがとうございます。曜日が確かに間違っていたので、直して掲載しております。申し訳ありませんでした。 (2020年2月14日 17時) (レス) id: a55d9f83ab (このIDを非表示/違反報告)
りると - act33にある宮野さんの名前の漢字なんですけど守じゃなくて真守なので直した方がいいかと思います。とても面白い作品なので楽しんで読んでいます。 (2020年2月14日 0時) (レス) id: 615da3bcde (このIDを非表示/違反報告)
Ri(プロフ) - act.30くらいで夜遊びの曜日なのですが、安元さんと江口さんが出ていらっしゃるのは、火曜日ではなく月曜日ではないでしょうか?お話、とても面白いです。 (2020年1月26日 11時) (レス) id: 6e0fe8bfcb (このIDを非表示/違反報告)
mameiyiteng3(プロフ) - misteriascatさん» ご指摘ありがとうございます。23話を非公開の状態にしていました…。 (2020年1月3日 21時) (レス) id: a55d9f83ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あきら | 作成日時:2019年12月8日 19時