楽器隊なのに声優やるの？

Act.39 ページ41

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達央の顔を思い出したら、今度は声が聴きたくなった。なんでだろう。付き合い長いからかな。
特に何も思わず携帯を手に取り、電源を入れる。

画面には、何件かの着信が入っていた。坂さんと天、あと瑠璃さん。ここは真守か鈴村さんから昨日の話を聞いたから電話をしたのだろう。
LINEにも、真守とひろくん、鈴村さんが入っていた。それとあと一人、達央のメッセージが入っていた。


他の３人には悪いが無視して、達央の名前を押す



今どこで何してんの



それだけの内容だった。昼ぐらいだったから、ちょうど休憩中だったのかと思う。
LINEの画面を閉じて電話帳を開き、達央の電話番号を押す。
すぐに発信音が聞こえて、プルルルと二度鳴った。まだ仕事中だったかなと、電話をしてから思ってあと一回鳴っても切ろうと思ったとき、音が止んだ。



〈もしもし？A？〉


「…もしもし。今何してんの？」


〈今？家帰ってきたばっか。お前こそ、何してんの？〉


「海見てる。」


〈海？寒くねえの？〉


「…寒いかも。あ、そう思ったら寒くなってきた。うっわ達央のせいで寒いわバカ。」


〈おーおー、連絡きたと思ったらいきなり人のせいにするんですかー？落ち込んでるって聞いて連絡したやつを、バカ呼ばわりするんですかー？〉


「落ち込んでませんー、ただなんか気分が乗らなかっただけですー。」


〈へーへーそうですかー、元気になりましたかー。〉


「お陰さまで元気になりましたー、っ…くしゅっ！」


〈まだ海は寒いだろ？さっさと帰って、風呂入れよ。〉


「そうする…。達央ぁ。」


〈ん？〉


「ありがと。」


〈…おう。〉


短い電話なのに心が軽くなった。達央の声が落ち着くトーンだからかな、さっきまでと景色が違うく見える。
空も泣き出しそうな空から、満月と星が見える空に変わっていた。




(明日、晴れそうだな。)




寒くなってきたから、と理由をつけて、バイクに跨りあたしは家に帰った。




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