読まないメッセージ ページ25
次の日。
お昼休みのチャイム。
HT「玲於ー。ご飯行こー！」
いつものテンションでじゃれてくる隼。
RO「おう。Aー！行く…ぞ…。あれ…。」
深く考えずに読んで振り返る。
HT「ありゃ？どこ行ったんだろ？さっきまでいたのに。」
独り言のように言う。
RU「おーい。飯行くでー。」
教室の後ろの扉から、隼と同じ誘いが聞こえてくる。
Aの席のカバン。
以前は付いていたキーホルダーが無い。
RO「先行ってろ。」
HT「え？玲於は？」
RO「ヤボ用。」
隼の腕をポンと叩いて出て行く教室。
右見て、左見て歩き出すと屋上への階段を駆け上がった。
ギギギ…と酷い音を立てて開く扉。
周囲を見渡さなくても、すぐに視界に入って来た。
フェンスにもたれる小さな背中。
RO「A！」
ハッとして振り返る。
RO「何してんだよ。こんなとこで。」
「ちょっと…考え事してた…。」
RO「考え事？」
「大したことじゃ無いから。」
伏せたままの目。
フェンスから手を離すと扉に向かって歩いて行く。
まるで、玲於を避けるように。
RO「おい。飯は？」
再びギギギ…と鈍い音が止まる。
「食欲ないから…。」
小さな声が答えると、Aはさっさと屋上から出て行った。
教室へ戻って来たA。
カバンから引っ張り出す携帯には一件のLINE。
KZ(今日、会えないか？)
壱馬から、それだけのメッセージ。
一瞬沸いた気持ち。
でもすぐに蓋をするように閉じ込めた。
いつまでも甘えちゃダメなんだ…
壱ちゃんには…
壱ちゃんの…
リクちゃんには…
リクちゃんの進むべき道がある…
危ないことさせて…
退学になるかもしれなかったんだもん…
無事だったんだから…
これ以上関わるべきじゃないよね…
指先がメッセージを削除する。
ごめんね…
壱ちゃん…
壱ちゃんには…
幸せでいて欲しいから…
でも…
突き放す勇気はないから…
もう…
返事しないね…
ギュッと握りしめる携帯。
同じように目も閉じて胸で抱える。
胸元で再びブルッと震える携帯。
KZ(会って話そう。)
KZ(大事な話なんだ。)
KZ(少しでいいから時間作って。)
KZ(返事待ってるよ。)
立て続けに流れてきたメッセージは壱馬からのもの。
目を開いてため息をつくと、読みもせず削除した。
いつもと違う様子のA。
屋上から戻って来た玲於は、教室の扉からその様子を見ていた。
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作者名：mamario | 作成日時：2018年3月31日 7時
