らくがん【宮治】

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治side



「なぁAちゃん」


『ふふ、デジャブ？』


昨日と同じように、中庭に連れ出した


なんで昨日と同じように笑えるん？

昨日あんなことがあって

しかも今から聞かれることも予想しとるやろうに


ちょっと躊躇ったけど、これは聞かなあかんことや

Aちゃんのことが好きでも、そうでなくても



「教育実習。実は稲荷崎にしたん、一時的にでも彼氏から逃げたかったからちゃうん」


Aちゃんは一瞬固まった

予想とは少し違ったんやろ


「ほんまに逃げたいんやったら、手助けしたる。

けどな、Aちゃんに逃げる気がないんやったら、俺らは助けてやれんからな」



Aちゃんは口も開かず俯いたまま


やっぱ言いたくない？

それともこのままでええんか？



じれったいようなもどかしいような

思わず返事を急かしてしまいそうになるのをこらえる






『ねぇ、治くんは運命って、あると思う？』



返ってきた言葉は、予想の斜め上をいった



運命と言えば…


ちょうど昨日ひいじいちゃんからの手紙を読んで

この恋を運命と呼んだ気がする




『"故意"以外は全部、運命なのかも…って思うんだ。


向こうが暴力を振るうのは故意じゃん。

それを受けるのが私になったのは、もしかして運命なのかなぁ…？』


寂しそうに空を見上げて呟くAちゃん



助けて、とは言われてへん


けどこれは、確実にSOSやろ

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