らくがん【宮治】

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治side



俺らが走って近づくと、男は逃げた



女性を助ける方、男を追う方


二手に分かれようと思ったけど、やっぱり






殴られてた女の人はAちゃんやった






…クソ、気のせいちゃうかったか





男が逃げた方へ足を向けようとしたツムも、

目を見開いて立ち止まった





「え…？A、ちゃん……？」




『…ありがとね』



一言残して立ち去ろうとするAちゃん



「いやいや、待てや」



とっさに左手を掴むと、すぐに引き抜かれた


左手をさするAちゃんの顔は、歪んどった







「説明ぐらいしてくれへんか。


俺らも心配してるんやから」



ツムが落ち着いた声色で語りかける




これにはAちゃんも申し訳なさそうな顔になった




『こっち来て。…説明、するから』









聞いた話によると、さっきの男は彼氏らしい



大学の先輩で、Aちゃんの2つ歳上



男が大学を卒業してから、暴力を受けるようになったんやて









は？


大学の先輩なら関東おるはずちゃうんか？





『…でも、どうして私がここにいるのわかったんだろ…』

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