幼馴染からその先へ【双星の陰陽師】

第十五話 ページ25

憲剛side

「魔軍顕符 大戯陰葬 急急如律令！」
霊符を片手に、Aの方に目を向けながら呪文を唱える。憲剛達は、霊符を渡されてこそいるものの、まだ正式に十二天将の力を受け継いではいない。今の憲剛達では、呪装するのも困難だろう。
「さぁて、どうするか」
呪装した美玖はAを見つめながら呟く。
「あぁ…あぁぁぁぁぁ！！！」
Aが苦しそうに叫ぶと、ぶわぁっと強い突風が吹いた。同時に、Aの周りにあった人の部品も飛ばされる。
「っ…チッ」
まずい。防御を強化する呪装を掛けるのを忘れてた。身体中に切り傷が出来る。しかも、深さもあり、滝のようにどんどん血が流れていく。
「…ユルサナイ。ミンナヲバカニスルヤツラ…ユルサナイ！」
明らかにAの声なのに、別人のような。
Aが言った途端、また強い風が憲剛達に向かって向かってくる。
「鎧包業羅 急急如律令！」
間一髪のところで鎧包業羅を呪装出来た。その為、もろに食らっても痛みは先ほどよりはマシになっただろう。
「…は？」
予想を裏切り、風は憲剛達の間をすり抜け、

後ろにいた凛凪家の傘下の陰陽師に向かっていった。

「全員伏せるっス！」
勘久郎が陰陽師達に叫んだが、時既に遅し。
Aの周りにあった『モノ』同様、バラバラに切り刻まれた。
ある者は右肩から腰にかけて。ある者は四肢を刻まれ、またある者は綺麗に輪切りにされた。
ピシャリと、赤い液体が憲剛の顔に付く。
それは生温かい、人間の血だった。

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