No.114 ページ15
遠くに行っていた意識が、不意に戻ってきた。
体は硬いのに、頭は柔らかい所に置いてある。
僕、どこに寝てるんだ？
「……んん？」
閉じていた目を開くと、今日買った雑誌の表紙が目の前に広がった。
「あ、起きた？」
そして次に見えたのは、本から顔を覗かせた女の子。
アクアマリンのようなキラキラとした瞳が、僕を見つめている。
なんで真上に顔が……
「……うわぁああ！？」
頭にあった柔らかい物の正体を察した僕は、勢いよく体を起こした。
「な、なっ、なん……！」
「急に倒れたからびっくりしたよ〜もう大丈夫？」
「あ……は、はい」
この短時間で、初対面の女の子から色々体験しすぎて、頭が追いつかない。
放心状態になっていると、女の子は先程まで読んでいた雑誌を僕に渡してきた。
「勝手に読んでごめんね」という言葉付きで。
どうやらリュックを閉め忘れていて、僕が倒れた時に一緒に転がっていたみたいだ。
……とことん情けない姿をこの子に見せちゃってる。
若干項垂れる僕に、女の子はさっきの事を話し始めた。
「この制服着てると、なんか沢山話しかけられるんだよね。学校ブランドかな？」
確かに、この子が着ている制服の学校……常盤台中学は、屈指の名門校であり、同時に世界有数のお嬢様学校だ。
物珍しいってのもあると思うけど、理由はそれだけじゃない気がする。
「いつもは色々理由つけて断るんだけど、あの人数は初めてだったし、ウサ太に集中してて話してる余裕なかったんだ〜」
……あの状況で人数まで把握してたんだ。そんな素振りは見えなかったけど、声の多さとかで分かったのかな。
そんな僕の疑問が伝わったのか、女の子は得意げな笑みを浮かべながら、その秘密を明かした。
その子曰く、"個性"の関係で、無意識的に周囲に電磁波を放出しており、その反射波を感知することによって、周囲を把握できるそうだ。
なんとも興味深い、素敵な"個性"を持っている。
「あ、そうだ。これも渡しとかないと」
「？ ……あっ！」
分析ノート……！
僕は慌ててそれを受け取った。
雑誌だけじゃなく、これも一緒に落ちてたんだ。
「君、ヒーロー好きなんだね！」
「う、うん……！」
「私も好き！特にオールマイト！」
「！ ……僕も！」
そして偶然にも、僕がよく見ていたオールマイトのデビュー動画が好きらしく、その事について熱く語っている。
僕はその子が話すごとに、共感するように何度も頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 517人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
せなぴ。(プロフ) - ポンコツさん» コメントありがとうございます！スランプ気味ですがこれからも楽しんで頂けるよう更新頑張ります(；_；)！！ (2022年6月18日 21時) (
レス) id: 4abf4e90db (このIDを非表示/違反報告)
ポンコツ(プロフ) - 楽しく読ませてもらってます！これからも更新楽しみに待ってます☆！ (2022年6月12日 14時) (レス) @page44 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
せなぴ。(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» コメントありがとうございます！不定期更新となっていますがこれからもよろしくお願いします……！！ (2022年5月29日 10時) (レス) id: 4abf4e90db (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します！とても面白かったです！続きを楽しみに待っています！(*´ω｀*) (2022年5月22日 20時) (レス) @page42 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
せなぴ。(プロフ) - らいさん» コメントありがとうございます！映画編は今の所、書く予定はないです(；_；)ですが、いつか構成やネタなどが思い浮かんだら挑戦したいなと思っているので、出来上がった際は是非読んでいただけたら嬉しいです！ (2022年4月24日 21時) (レス) id: 4abf4e90db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：せなぴ。 | 作成日時：2022年2月13日 15時
