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翔の手を引いてアパートまで帰る。
これがあたしと翔の日課。
昨日のこと、藤ヶ谷くんに聞いた。
翔、見てたんだね。
今どんなこと考えてるんだろ?
男の子だからわからない時がある……
こんなんじゃ、思春期は思いやられるかなとか思ったりもする。
あたしは翔の目線に合わせて話し始めた。
「ね?翔。ちょっとママのお話聞いてくれるかな?」
あたしの声に翔は見上げた。
「藤ヶ谷先生に聞いたんだ。翔。昨日起きてたの?」
こくん、と頷く翔。
「翔にひ嘘つきくないから、ママはほんとのこというね。ママね、パパのこと、大好きなの!小さい頃から。ママの初恋の人なの!」
「初恋ー?初恋の人と結婚したの??パパの初恋もママ?」
「う……パパの初恋は、まなちゃんのママかなー」
「だよねー!分かる分かる♪キレイで優しいもんねー」
・・・・・・・・・・・・・
こいつ、笑顔戻ってない?
ってか、なんであたしいじられてんの?
6歳児に!!!
「だから、パパのこと、大好きだけど、翔とお腹にいる赤ちゃんは宝物で大切なの。なにがあってもママとパパで守りたい存在だから……!」
言ってる途中で涙が出そうになった。
女の子なら、一緒になって泣いてくれるところだけど。
「ぼくが泣かせたと思われるからやめろよな!」
は?・・・・・・・・・・・・・・・・
あなたまだ6歳よね?
翔の手を引いてまた歩きだそうとしたそのとき、
「ぼくがもってあげるから、かして!」
あたしのカバン。
翔の体は自分の荷物だけでいっぱいいっぱいなのに。
「ありがとうね。ママ持てるから大丈夫。」
「じゃあ、今度お出かけする時は持つよ!」
必死に言う翔がかわいくて。
「お願いしようかな?」
そんなこと言いながら、帰り道の夕焼け空はキレイだった。
早くあなたにも見せたいな。
翔と繋いで夕焼けを見ながら、そっとお腹を撫でた。
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作者名:まこ | 作成日時:2018年10月20日 21時