episode259 ページ9
.
Aの夏休み休暇は、驚くほどに静かで平和だった。
そして、家族はいつもより、そしてそれ以上に静かだった。
ヴォルデモートの復活も耳にしていないはずが無いのに、家族の内、誰もその話を口にしていなかったのだ。
おかげで、Aは夏休み中ヴォルデモート卿について耳にすることはなかった。
だが、Aに見えたセドリックの死に際が、Aを苦しめていた。
忘れようとしても、忘れられるものではない。
Aは、夏休み中の何晩かの夢でセドリックを見た。
その度に、一日中気持ちが沈んでいた時もあったくらいだ。
そんな夏休みがもうすぐ終わろうとしていた頃、Aは昼食の席に座っていた。
「父上」
突然、Aの隣に座るドラコが上座に座るルシウスに話し掛ける。
「なんだ？」
ルシウスが食事の手を止めて、ドラコを見た。
「＿＿監督生に選ばれました」
喜びを抑えているのか、それとも本当に嬉しくないのか、ドラコの声は不自然に固かった。
隣で聞いていたAは、目を丸くしてドラコを見る。
ナルシッサは「まあ！」と表情を明るくさせた。
今日、ふくろうが運んできたホグワーツの手紙に新学期に必要な物のリストが書かれていたが、ドラコ宛ての物には監督生バッジも入っていたのだろう。
今年のスリザリンの監督生の一人は、ドラコが選ばれたのだ。
監督生は、寮点を加減点する権利を持っている。
そして、またある程度までの罰則を与えることもできる立場だ。
「流石だわ。ねえ、あなた？」
ナルシッサが、嬉しそうにルシウスに言った。
ドラコは、ルシウスの表情を伺う。
「＿＿監督生か、よくやった。しっかりとやり遂げるんだぞ」
ルシウスはドラコを見て言う。
ドラコはルシウスに褒められたことが嬉しいのか、少し顔を綻ばせて「はい」と返事をした。
Aはまだ驚きが隠せず、ドラコを見ていた。
だが、ドラコが監督生に選ばれたのも到底不思議なことではない。
ドラコは成績も良い。
素行はどうかわからないが、なにより、寮監であるスネイプ教授に気に入られているのも、選ばれた理由なのかもしれないとAは思った。
・・・・・
「＿＿おい」
その後、食事を終え、Aが部屋に戻ろうと階段を上っていた時、ドラコが声を掛けてくる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 585人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恂(プロフ) - 黄緑さん» コメントありがとうございます🙇♀️楽しんで読んでいただけている様で、嬉しくなりました！ありがとうございます☺️ (2022年3月26日 21時) (
レス) id: db0672b5d4 (このIDを非表示/違反報告)
黄緑 - 逆ハーものが大好きなのでフレジョに愛される夢主に萌え転がりました…逆ハー最高です… (2022年3月26日 20時) (レス) @page28 id: 4f3c0f4c8d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：恂 | 作成日時：2022年3月5日 22時
