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ブラックは静かに「少し昔話をしよう」と言った。
「わたしの両親は熱狂的な純血主義者でね。ブラック家こそ、純血族の王家だと信じていた。＿＿わかるだろう？ヴォルデモート卿の考えに賛成していたのさ。マグルの存在を疎ましく思っていた」
ブラックの声色には、憎しみが感じられる。
「……わたしには弟がいたんだ。わたしの弟はよくできたやつだった。わたしと違って両親の言うことを聞いていた……。馬鹿なやつだよ＿＿」
シリウスに弟が居たことを、Aは聞いたことがなかった。
その弟は今どうしているのかをAが聞く前に「……死喰い人になって死んださ。殺されたんだ。あいつに」とブラックは語る。
Aは眉を寄せた。
「わたしはそんな家が嫌で、十六の時に家出した。あのままあの家に居たら、どうにかなっていただろう。……弟のようにな」
ブラックは苦しげに眉を寄せて語った。
そして、Aを見つめ「君にわたしと同じ人生は歩ませたくない」と。
「君はわたしと似ている」
ブラックはまるで赤子を撫でる様な優しい声を出した。
純血の家柄に生まれ、純血主義を強いられ、苦しめられていた幼い頃の自分の姿を、ブラックはAに重ねていたのだ。
「わたしが力を貸そう」
ブラックは静かに、そして力強く言った。
しかし、Aはすぐに返事をせず、ブラックから目を離す。
Aは迷っていた。
すぐに答えは出たものの、少しの迷いがAを止めた。
それから数分の間、ブラックを取り巻く暖炉の火がパチパチと燃える音だけが聞こえていた。
「……どうしてだ？」
ブラックは信じられないという顔をした。
ブラックは、Aがすぐに返事するものと思っていたのだ。
「私はもちろん両親の様になるつもりはないわ」
Aは静かに言った。
「……でも、家族を捨てることなんてできない」
Aの言葉は力強く、意志が固いのがよくわかった。
Aは家族の存在を嫌悪しているわけではなかったのだ。
両親や兄との仲は到底良いとは言えないだろうが、Aは家族を捨てると言う選択肢は考えられなかった。
勇気が出なかったというのも一つの言い方なのかもしれない。
少しの間、二人の間に沈黙が流れた。
「そうか」
沈黙を破った声は、ぶっきらぼうだった。
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恂(プロフ) - 黄緑さん» コメントありがとうございます🙇♀️楽しんで読んでいただけている様で、嬉しくなりました！ありがとうございます☺️ (2022年3月26日 21時) (
レス) id: db0672b5d4 (このIDを非表示/違反報告)
黄緑 - 逆ハーものが大好きなのでフレジョに愛される夢主に萌え転がりました…逆ハー最高です… (2022年3月26日 20時) (レス) @page28 id: 4f3c0f4c8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恂 | 作成日時：2022年3月5日 22時
