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side 赤
「そうなんや」
適当な返事。
「す ばるくん、相談のってくれてありがと。
でも、もう少しで用済みやわ」
含みも棘もある、尖った言葉。
「速水さんは?」
「今日は送っていくわ」
「は?」
言葉が飲み込めなくて聞き返す。
「残り少ないやん。
思い出作っとかなあかんやろ」
最低な言葉を紡ぐ綺麗な横顔。
Aもよう褒めとったな、
って思い返しながら、見つめる。
「そんな見んとって」
薄く笑うその顔が綺麗なのに、
歪んだ笑顔に見えて。
「俺にはわからへんし、
わかろうとも思わんけど。
Aが気の毒やわ」
「Aが一番なんやから、ええやん」
壁によりかかって、
パイプ椅子に座る俺を見下ろす瞳。
とても冷ややかな────、
こんな目ぇしとった?
「Aが同じことしても、お前平気なん?
耐えられるん?」
「────耐えられへんから、
す ばるくんとこんな話してるんやろね」
低く響く声。
「やったつもりはあらへんけど、
返してもらうで。俺のもんやから」
宣戦布告なんやろな。
受けてたったろしか思えへん。
「Aの気持ちは、どうなるん?」
「Aは俺の事、好きや言うとるし。
あかん?」
「あかんわ」
見上げたまま、立ち上がろうとした時だった。
「トイレ混んでて────何かありました?」
戻ってきた速水さんの声で、
周りのざわめきから遮断された2人の会話が終わり、
痺れていたところに血が通ったようにじりじりとしてくる。
「いや、お疲れさん。
明日もあるし、はよ撤収しよ」
「疲れためたらあかんわって話。ほな帰ろ。
す ばるくん、また明日」
にこやかやけど、追い払われてるのを感じて。
「おん」
そう言って、2人から離れた。
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まこ(プロフ) - sangozygoさん» 大倉担のさんごさんに喜んで頂けているなら、本望です!手探りのクズ倉くんですが、今後もよろしくお願いいたしますw (2019年1月19日 18時) (レス) id: 665cb48fe5 (このIDを非表示/違反報告)
sangozygo(プロフ) - わわわーーーーん!!クズ倉くん最高過ぎてたまりません!!!通知来る度に飛んで来て読んでます!! (2019年1月19日 15時) (レス) id: b426f69b31 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - randyeeeeeeeさん» 昨日、下書きの保存を間違ってかなりの時間に1話飛ばしたのを読んで頂いてしまったようだったので、そこ周辺まで一気に更新したんです(^_^; クソ倉くん、かなりクズですが、喜んでいただけてるならばこのまま突き進みますwコメント嬉しいです。ありがとうございます! (2019年1月19日 10時) (レス) id: 665cb48fe5 (このIDを非表示/違反報告)
randyeeeeeee(プロフ) - 返信いただき嬉しいですー!毎朝の日課になっていて、今日は1話じゃなかったのでご褒美もらった気分ですw!クソ倉くん…しっかりと反省したまえ(笑)と思いながらも乗り越えてー!と応援しちゃっていますw楽しみにしています。更新頑張ってください! (2019年1月19日 8時) (レス) id: a02fcd29a4 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - neko58910さん» ありがとうございます!考え出すと更新が止まりますw嬉しいコメントを頂いて、励みになります。間が空くかもしれないですが、これからも更新していきますので、よろしくお願いします。 (2019年1月19日 0時) (レス) id: 665cb48fe5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まこ | 作成日時:2018年11月5日 18時