氷の心46 ページ48
外で待っていると、昼間のため大いに人が賑わっている。
油断すれば飲み込まれそうだ。
「…っあ、ごめんなさい」
「いえいえ。私こそよそ見をしていたわ。ごめんなさいね」
ぺこりと着物の女性は頭を下げて颯爽と人の中に紛れ込んでいく。
ここの人は綺麗な人ばかりだ。
すると、視界にちらりとはいる人。
店と店の間の隅に、三人の女の人が話していた。仲がいいなと思っていたのもつかの間。二人が一人の腕をサイドに掴んで、無理やり隅の中に連れていくのが見えた。
「……っ…！？」
なんだか見覚えのある光景に胸がざわつく。
鶴丸には待っていろと言われたが、見過ごす訳にはいかない。
危険信号が鳴り響く頭を無視して、私は思い任せに三人のあとを追いかけた。
「…貴方が宗次郎さんに気に入られている子ですってねぇ？」
そんな声が耳に届いて、音を立てないように顔を覗かせる。
すると、へたり込む一人の前に仁王立ちの女性二人。
「気に入られてるからっていい気になってるんじゃないの？この身分で」
「そ、そんなつもりは…っ」
「生意気ね！」
パチンっと頬を叩く音が響く。勢いがあったのが、一人の淡いピンクの着物をきた女性はバランスを崩し、倒れ込む。
何とか手をついて顔から地面につくことは無かったものの、私は我慢ができなかった。
あの子が、私と重なったように見えたからだ。
駆け出した足は止まることを知らない。
倒れ込んでいる彼女と二人の前に大きく手を広げる。
「なぁに、この子」
「仲間でも呼んだの？ずる賢いわね」
「わ、私は通りすがりの通行人Ａです！！」
ビクビクと震えが止まらないが、私が大きな声でそう言えば二人の女性は何を言っているのかわからないという顔を浮かべる。
「あなたの友人も頭がおかしいのかしら」
「ほんと。でも用があるのはあなたじゃないの。どいて下さる？」
「いいえ、退きません」
決して動こうとしない私に再度、同じ事を尋ねられる。
「どいて、下さる…？」
「っ退きませ……っ…！！」
勢いよく打たれる頬。
ぴりぴりと頬が痺れる。
唖然としていると、強く肩を押され、地面に手がつく。手のひらがじわじわと鈍い痛みを放ってくるということは、軽く切れたのだろう。
「…ぁ…」
手のひらを見れば、案の定血が滲んでいる。
「…退かないからいけないのよ」
「ほんとね」
「……全くだ。
どう責任とってくれるつもりなんだい？」
声が聞こえて顔をあげれば、笑みを浮かべた鶴丸がいた。
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雨宮(プロフ) - 匿名さん» 呼び方が不明の時に作っていた作品だったもので、光忠と呼ばせていただいていました。細かなご指摘ありがとうございます。次回から訂正していこうと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します！ (2017年8月7日 13時) (
レス) id: 3d2471f204 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - なんか上から目線になってしまいすいません 更新頑張ってください (2017年8月7日 0時) (レス) id: 7426c73648 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 面白く読ませて頂いてます。 一つ指摘があるのですが、鶴さんは光忠のことを「光坊」と読んでいるはずです。 (2017年8月7日 0時) (レス) id: 7426c73648 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮(プロフ) - 狂夜さん» ありがとうございます！これからどんどん鶴丸がかっこよくなるように頑張りますね！笑 (2017年7月30日 9時) (レス) id: 3d2471f204 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮(プロフ) - 蒼宙さん» ノロマ更新ですみません！ありがとうございます！！ (2017年7月30日 9時) (レス) id: 3d2471f204 (このIDを非表示/違反報告)
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