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やっと目が合った。 ページ14

サワムラ先輩の半歩後ろを歩きながら空を見上げた。........確かにこんな真っ暗で、街灯もポツポツとしかない道を通るの、結構危ないかもしれない。と少し背筋が伸びたけど、先輩の広い背中を見ているとなんだか安心してしまう。広くて、頼もしい主将の背中。

「どうした?」

私がサワムラ先輩の背中に視線を送りすぎたせいか、先輩が不思議そうに首を捻ってこちらを見た。突然だったから心臓が跳ねて、またキョロキョロと視線をさ迷わせてしまう。

「い、いえ、何も........」
「そうか?」
「はい.............」

まさか背中に見蕩れてましたとは言えない。というか、なんだか恥ずかしい。慌てて俯いた私をサワムラ先輩が見ているような気配がして、顔が上げられない。

「十河さん」
「はい」
「顔あげなよ、危ない」
「........はい」

5ミリくらい顔をあげれば、サワムラ先輩が「全然じゃねェか」と笑う。

「別に大丈夫です」
「危ないって。ほら」

ひらひらと私の顔の前でサワムラ先輩の大きな手のひらが振られるけど、私は顔を上げることは無かった。

「とーがわさん」
「........」

そっぽを向いた私に、先輩は手を振ることをやめて歩き始める。........怒らせた?と少し不安になった時、上からサワムラ先輩の声。

「あっ、流れ星」
「えっ」

え、この時期に?!と驚いて顔を上にあげた瞬間、サワムラ先輩が私の腕を掴んで、隣に並ばせた。

びっくりしすぎて固まる私に、サワムラ先輩はイタズラが成功した子供みたいな表情で口角を上げる。

「やーっと目が合ったな」
「え........あ、」
「スマン、流れ星は嘘」
「は、そそうです、か........」

初めて目が合ったサワムラ先輩は、意外とと瞳が大きいなとか、真っ黒で本当に烏みたいな色彩だなとか、色々とぐるぐる思ったことが巡りすぎて、全く言葉にはならなかった。

ただ、何か言わなきゃと思って口をついてでたのは可愛げのない一言。

「........嘘は、良くないと思います」
「ははっ、スマンスマン」

隣を歩くサワムラ先輩はなんだか楽しそうに笑っていて、本当にこの人世話好きなんだなぁと思った。

「でも十河さん全然目ェ合わせてくれないから」
「別にいいじゃないですか」
「んー、いいけど」


俺が合わせたかっただけ。









「........?あれ、何で十河さんまた顔伏せたの」
「........ちょっと...............ほっといてください........」
「危ないべ?」
「わかってます........わかってます........」

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ちんすこう - 更新しないんですか?凄く楽しみ待ってます。数ある大地さんのお話の中で一番好きです! (2020年5月12日 10時) (レス) id: 9e27674b7b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 草さん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。そうなんですね・・・!知識不足でした、ありがとうございます。大地さん大好きなので我慢出来ずに書いちゃいました。読みやすいと言っていただけて安心しました。妬いちゃう大地さん難しかったので萌えて頂けてなによりです。 (2019年11月5日 21時) (レス) id: 3e7d8a8bee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 早生まれは1/1から4/1で、遅生まれが4/2から12/31なので三月生まれの夢主は遅生まれではなく早生まれですね。大地さん夢珍しい上に文が読みやすいです。妬くところ大地さん普通の高校生で萌えました。 (2019年11月2日 23時) (レス) id: 59c85b2532 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月8日 20時

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